ハーレー・ダビッドソンの例
例えば、ブランド論、特にブランドのユーザーコミュニティの話などになると必ず登場するハーレー・ダビッドソン。ハーレーオーナーズクラブ(HOG)なんかがあったり、公式サイトでもたくさんのイベントが紹介されていたりします。
ハーレーオーナーズクラブ:http://www.hog.jp/
こんな風に身体に刺青入れちゃうくらい、ブランドのマインドが共有されているわけです。


社内でさえマインドが共有されず、他部署と争ったりしてる企業が少なくない中で、外部の顧客(いや、もはや顧客とは言えず、パートナーと呼んだほうがいいかも)にまで、ブランドのマインドが共有されているなんてすごいですね。
ブランドにとってWebが果たす役割
では、その場合、Webはブランドにとって何の役に立つのか?僕はWebって増幅器だと思ってます。これはブランディングに限ったことではないんですが、Webってゼロから何かを生み出すというよりも、小さなものを繰り返し反復可能にすることで影響範囲を拡大したり、影響の度合いを深くしたりするのに向いてるんだと思います。
先のハーレーの例でも、Webが果たす役割は、ブランドの心、そして、それを実際に伝道する役割のハーレーオーナーが互いの情報共有やコミュニケーションをしやすくするためにはとても効果的だと思います。あの公式な場で話さなくても、今ならブログやmixiがありますしね。
マインド共有のための前提となる環境を効率よく整備することで、結果的にブランドのマインドが増幅する。それがWebの役割なのかなと思います。
なので、Webブランディングといっても、元となるブランドの強い思いがないとダメなわけです。いくらWebが増幅を得意とするからといって、ゼロに何をかけてもゼロなわけです。ブランドをつくるにはユーザーとの共創って大事だと思いますが、それでも最初の一歩を踏み出す強い思いはブランドの側が伝えていくことが必要なのです。
ようするに、他人(外部)にうちのブランドってどうしたらいいでしょうか?なんて優柔不断なことを言ってる時点でダメなわけですね。ブランドの核となる信念がなければ、そのマインドが世界中のたくさんの人々に共有されるなんてことになるわけがないのです。
ブランドのマインドの反復
さて、話を戻して、Webがブランドのマインドの増幅器だという話。これはWeb上では、噂や口コミがあっという間に広まるのと基本的に同じ仕組みですね。ただ、その場合の反復は実は同じものの反復ではなくて、昨日も書いたようにドゥルーズ的な違うものの反復なんだと思います(参照:片平秀貴さんのブランド論:脳の皺と反復)。単にコピーが増えていくというのとはちょっと違う。というのも情報自体はコピー的な増え方をするわけですけど、コピーされた情報と個々人の解釈の間には微妙な変異が生じます。ヒトと情報のインターフェイスには常にズレが紛れ込みます。そのズレを内包しているからこそ、人それぞれの感じる異なるブランド価値を、共有されたブランド・マインドとして流通させ、かつ蓄積させるのかなと。
このあたりは次のエントリーで別途論じることにします。
頭脳は交換の器官であるが、心は、反復を愛する器官である。ジル・ドゥルーズ『差異と反復』
ブランドって心が大事です。そうでなければ反復に耐えないということで、それは賢い頭脳によって別のブランドにカンタンに乗り換えられてしまうということですね。
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