2006年10月06日

成長には、素材よりも順番が大事?

このブログの語彙リストはどのくらい、著名なブログのそれと一致してるのだろ
うか?
おそらく、ガチャピン日記とはそれほど一致していないのだろうが、弾さんのブログ池田先生のブログとの一致率は結構高いのではないかと想像します。

有限な語彙で無限(に近い)文章を生み出す

リドレーが言うように、ディケンズの『デイヴィッド・コパーフィールド』に出てくる単語のリストは、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』に出てくる単語のリストとほとんど同じである。(中略)2つの本でまったく違っているのは、そうした単語がつなぎ合わされる順序である。
リチャード・ドーキンス『祖先の物語 ドーキンスの生命史 上』

辞書の編纂が可能なことからもわかるように、文章を書くために用いることのできる語彙は有限です。
それはホルへ・ルイス・ボルヘスの『迷路』の中でバベルの図書館で空想したような、「100の100万乗の本」がある「物理的に可能な対象などではない」ような「500頁の長さで、それぞれの頁は1行50字で40行の組み方をしてあるから、頁あたり2000字分の字数がある。それぞれのスペース、つまり1字分の空間は、何も書いてないか、100の集合(大文字と小文字の英語と、他のヨーロッパ語の文字と、ダッシュとパンクチュエーション・マーク)から選ばれた文字が印刷されてあるかの、どちらかである」ようなほとんどの場合、無意味な文字の羅列が印刷された本とは異なります。
語彙は単なる文字の組み合わせではなく、可能な文字の組み合わせのうちのごくごくほんのわずかにしか存在しない有意な組み合わせで表現されます。

その語彙から文章をつくるのですし、さらに多くの場合、辞書に掲載されたすべての語彙を使うことはなく、自分が関心を示し、かつ知っている語彙のみを利用して文章を書くのですから、似たような対象について書かれたブログで、語彙リストの多くの部分が共通していることは決して不思議ではありません。

しかし、語彙が同じでも、その組み合わせ、順列が異なれば、意味される内容はまったく異なります。

Web2.0 は 定義 が 明確 な もの では ない ので それ が 何か という 議論 は なかなか 決着 を みない の です 。



明確 な 議論 は 定義 が ない Web2.0 という もの を みない ので それ は 決着 です 。

上の2つの文章は同一の語彙を使用したものですが、意味される内容はまったく別物です(2番目はすこし日本語としてきびしいですが)。

同じリソースでも、その組み合わせ、順列によって異なる結果を生じるというのは、当然、文章を書くシーンにだけ当てはまるものではないでしょう。
プロジェクトの推進にしても、ある商品のマーケティングを実施する際の施策実施の手順にしても、順番を間違えば、期待していた結果は得られないことが多々あるのではないでしょうか?

このことは、ゲノムの語彙数では大きな違いがみられないマウスとヒトが結果として、大きく異なっていることにも当てはまります。

成長には順番が大事?

一人の人間がつくられるとき、あるいは一匹のマウスがつくられるとき、どちらの胚発生も同じ遺伝子の辞書、つまり哺乳類の胚発生における通常の語彙を使う。人間とマウスの違いは、共通の哺乳類の語彙集から遺伝子を引っ張ってくる順序の違い、それが生じる体内の場所の違い、タイミングの違いから出てくるのである。
リチャード・ドーキンス『祖先の物語 ドーキンスの生命史 上』

骨をつくる遺伝子も、肉をつくる遺伝子も、それが骨になる部分にも肉になる部分にも等しく存在しているらしい。しかし、それらは自分がいまどこの場所にいるかを知っているかのように、あるものは骨をつくり、あるものは肉をつくるのだそう。語彙は有限であり、たとえばヒトゲノムなら2万2000個の遺伝子をもつが、そこから何が生まれるかは遺伝子の語彙数ではなく、タイミングや文脈の違いから生まれるのだそうです。

GROW CUBE

この「成長には順番が大事」ってことをわかりやすく示してくれているのがGROW CUBEと呼ばれるゲームじゃないでしょうか。

GROW CUBE



このゲーム、10個用意されたアイテムを順番においていくと、四角いキューブ世界が成長していくというもの。
順番によって成長度合いがまったく違うので、やってみるとはまります。

成長度合いの違いはこんな感じ。
左が中途半端な成長で、右はかなりうまく成長した例。



まさに同じ素材、語彙をもっていても、違う成長、結果が生まれるのだということを視覚的に理解させてくれる格好の事例です。

還元主義から創発主義へ、再び

創発の時代」というエントリーでも書いたことですが、「物理的な意味で人間の集団における組織化現象を考えてみようというのが」、ここ最近の僕自身のひとつの探求テーマだったりするわけですが、単に組織を要素間のつながりというスタティックな空間のイメージでみるだけではなく、要素間のつながりを順列という時間軸もとりいれたダイナミックなものとしてとらえることはこれまた大事なことだなと思います。

そんなわけで、もっとこの方面の知識(スキーマ)を仕入れて、別の文脈での読解をすすめようと思い、ドーキンスがはじめに引用している箇所で紹介してくれているマット・リドレーの『やわらかな遺伝子』をさっそく購入してみました。
みなさんもビジネスのことを考える際に、ビジネス書などからその知識を得るだけでなく、ほかの文脈で頭を使えるように、ほかの分野の知識も仕入れてみることをおすすめします。

関連エントリー

posted by HIROKI tanahashi at 23:54| Comment(3) | TrackBack(0) | 進化論、生物学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
GROW!!!
すごく昔にハマってました
懐かしい…
思わぬところで再見し、うれしい限りです
Posted by noriyo at 2006年10月07日 17:34
やっぱりハマったんですね。
僕もクリアするまでやってしまいました。
Posted by tanahashi at 2006年10月08日 23:38
はい、私もはまりました!ver2もクリアしちゃいました(w
Posted by ちさ at 2006年10月09日 01:32
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