またまた科学に偏ったおすすめの14冊

以前、「とっても科学に偏ったおすすめの18冊」と題して、このブログで紹介した本のまとめエントリーを書きました。
またそこから3ヶ月ほど時間が経ったので、その後に読んだ本のまとめをしてみようと思います。こうしてまとめてみると、今回は前回ほどは「科学に偏った」わけではなかったようですね。

進化論

1.人体 失敗の進化史/遠藤秀紀
獣医学博士で獣医師である著者が、解剖学的視点で動物のデザインを考察することで、ヒトの進化の歴史を探った1冊。他の動物の「形」とヒトの「形」を比較した事実に基づく考察は派手さはないものの、とっても納得感のあるもの。なかでも「なぜ月経があるのか」という考察はとても興味深かったですね。(書評投稿日:2006年07月16日)
2.セックスはなぜ楽しいか/ジャレド・ダイアモンド
こちらも『人体 失敗の進化史』同様、ヒトの進化の歴史を考察した1冊。ただし、その視点はヒトの特殊な性行動に焦点を絞っています。『人体 失敗の進化史』の「なぜ月経があるのか」を読んだ直後だったので、よけいに興味深かったです。著者はその後『銃・病原菌・鉄 1万3000年にわたる人類史の謎』で文明の進歩の歴史を、そして、『文明崩壊』では逆に崩壊する文明を扱った本も書いているジャレド・ダイアモンド。(書評投稿日:2006年07月20日)
3.歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化/スティーヴン・ミズン
そして、進化論カテゴリーで最後に紹介するのもやっぱりヒトの進化の歴史を考察した1冊。著者は、認知考古学の第一人者で、ヒトの心の進化を追究しつづけるスティーヴン・ミズン。この本では言葉と音楽の起源についての探求が行われています。大きく2章に分かれていて、1章では現代の人間の失語症や乳幼児の言語習得の考察から、脳の中の言語および音楽の認知モジュール・モデルを探っていき、後半の第2章ではサルから進化したヒト科の進化の歴史を紐解きながら、著者が言語と音楽の起源として仮定するHmmmmmコミュニケーションについてのストーリーを綴っています。(書評投稿日:2006年09月01日)

と、こんな3冊を読んだので、いま読んでいるリチャード・ドーキンスの『祖先の物語』もすごく興味深く読めています。

  
 

物理学

4.エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する/ブライアン・グリーン
現代物理学において1つの課題とされているのがアインシュタインの重力理論と量子力学のあいだの矛盾を解決することですが、その1つの解として期待されるのが、この本で扱われている超ひも理論およびM理論です。そうした構図を著者はアインシュタインの相対性理論からはじめ、量子力学、そして両者のあいだの矛盾の説明を経て、超ひも理論がなぜそれらを解決できそうなのかを、非常にわかりやすく紹介してくれています。還元主義的物理学の先端を理解するにはおすすめの1冊です。(書評投稿日:2006年07月19日)
5.物理学の未来/ロバート・B・ラフリン
ブライアン・グリーンの超ひも理論がしめす還元主義的傾向に対し、のっけから「ブライアン・グリーンが物理学に対して取った態度を促した世界観は、ジョン・ホーガン著『科学の終焉』にまざまざと描かれている」と還元主義とそれが目指す統一理論の発見、そして、その最悪な誤読ともいえる物理学の終焉に対して、真っ向から拒否の姿勢を示したのが、創発主義的物理学の世界で活躍するロバート・B・ラフリンのこの1冊。統一理論という成文化による物理学の終焉という主張に対し、「法則とは、自然の物事の有り様を成文化したものにすぎない」と記し、さらに物理学はまだその自然の法則性の大部分を理解しておらず、そこに還元主義的物理学者がみようとしない組織的現象の存在、そして、そのおもしろさ、不思議さを紹介してくれているのがこの1冊です。文章そのものは読みやすいのですが、対象が対象だけにあまり馴染みがなく、なかなかむずかしかったりするのですが、そこがまたおもしろいというのが本書の魅力の1つです。(書評投稿日:2006年09月21日)
6.ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論/ピーター・アトキンス
WAAAAAAO!これがこの本を読み終えた感想です。進化やDNA、エントロピーから量子、宇宙論、時空まで、現代科学を支える10の理論をピックアップしてそれを1人で書ききってしまえる著者の視界と知識の広さにも脱帽ですが、真に驚くべきはその広さに深さもともなっていること。単になぜ10の理論が科学にとって重大なのかを示すだけでなく、独自の眼力でさらにその背後に潜んだ驚くべき法則性を目に見えるよう示してくれる視点はさすがとしかいいようがありません。この本だけはぜひとも読んでいただきたい1冊です。(書評投稿日:2006年09月27日)

  

経済学

7.ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する/スティーヴン・レヴィット
書評を書いたときにも書いたのですが、実は経済学の本ってあんまり読みません。でも、この本をはじめ、今回、経済学系の本を3冊も紹介しています。その理由の1つはこの本を読んで「経済学も悪くないな」って思えたからです。そう感じた理由は最初のほうに書かれた、古典派経済学の始祖、アダム・スミスに対する評として「彼が興味を持ったのは人への影響であり、与えられた状況の下で人がとる考えや行動を経済的な力が大きく変えてしまうという事実のほうだった」という言葉がとても理解できたからで、結局、この本で著者が試みているのも経済学的な統計ツールを用いて、いかに「人への影響」の原因を探ったり、「与えられた状況」のどれがヒトの経済的活動に影響を及ぼしているのかを具体的な例で示すことでした。このあたりは僕の専門分野であるマーケティングとも関わりがあるので興味深く読めた1冊でした。(書評投稿日:2006年07月01日)
8.行動経済学 経済は「感情」で動いている/友野典男
書評投稿日をご覧になってもわかるように、『ヤバい経済学』と平行して読んでいたのがこの1冊です。「本書は、行動経済学の入門書であると同時に、経済行動の背後にある心理的・社会的・生物的基盤を探り、行動経済学の基礎を固めることを目指す
」と最初に定義されているとおり、行動経済学は先のアダム・スミスが目指した経済学の方向性に非常に近いものをもっています。もともとマーケティングなどをやっているので、認知心理学的なものには興味をもっているのですが、この行動経済学もまた認知心理学から多大な影響を受けているそうです。それもあってこの本は経済学の本というより、認知心理学の本じゃないかと思えるくらいです。こっち方面から経済学を考えてみたい方は一度読んでみることをおすすめします。(書評投稿日:2006年07月03日)
9.経済物理学の発見/高安秀樹
同じ経済学でも上記2冊とはまったく異なるアプローチをとっているのがこの1冊。もともとフラクタルやカオスなど、複雑系の分野を研究していた物理学者であった著者が、経済学的現象のうちに同様のフラクタルやカオスを見出したことからはじまっているのが、この本で扱われる経済物理学=エコノフィジックスという分野です。その意味でこの本は先の2冊のように人間を通して経済を見るというのではなく、結果としての現象からその複雑系における法則性を見出そうという物理学的アプローチをとっています。どちらがいまの僕の関心に近いかといえば実はこっちだったりします。この本を読んだことで、はじめたのが僕がこのブログなどあちこちで書いてきたベキ分布考察だったりするわけです。(書評投稿日:2006年08月15日)

  

Web関連、情報社会

長くなったので、ここからは手短に。

10.ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち/ロバート・スコーブル&シェル・イスラエル
僕がSMO(ソーシャル・メディア・オプティマイゼーション)だったり、EGM(Employee Generated Media)といったことを考えてみようと思ったきっかけになった1冊です。(書評投稿日:2006年08月05日)
11.テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0/Joseph Jaffe
とりあえず読んでおこうと思いつつも、途中で断念しました。というのは本がどうこうではなく、自分の興味関心の領域と違っていたから。(書評投稿日:2006年08月19日)
12.ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」―5つの段階で考えるユーザー中心デザイン/Jesse James Garrett
最近のユーザビリティへの関心から、あらためてJesse James Garrettの5 Planes Modelを考え直してみようと思って。(書評投稿日:2006年09月22日)
13.監視社会/デイヴィッド・ライアン
情報社会は監視社会である。簡潔なメッセージですが、IT業界に働く人や業務管理を行う人、それからマーケターは認識しておいたほうがよいだろうというメッセージです。(書評投稿日:2006年08月20日)
14.マーケティング2.0
このブログでも20冊売れました。ありがとうございます。あそこでは書ききれなかった部分をどこか別の場所で書ければいいなと思っています。「マーケティングサイエンス2.0」という形で。(書評投稿日:2006年08月07日)

  
 

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