シリアルイノベーションでの紹介記事
そんな今泉さんが想起された「未来の企業の姿」というのも非常に納得感のあるものでした。
・社内は”同士”的に結束している。そのなかでも主だった人は、いわゆるEmployee Generated Mediaを使って、外部とインタラクションを行う。
・EGMを通じて、社外で”同士”が集まる(”同士”に相当するコミュニティが自己組織化する)。彼らはCGMを使って彼らに同調する消費者に影響を与える。
・社内の”同士”と社外の”同士”とはウマが合う。従って、Consumer Focused Innovation(または民主化するイノベーション)をうまく機能させることもできる。
・双方納得してイノベーションを連続的に敢行。市場がうまく受容してくれれば企業価値がいや増す。
以下、今泉さんに非常によい刺激をいただいたので、ここ最近、考えていたことをまとめる意味もふくめて、これからの企業や企業サイト、そして、いまや立派に生産者化しつつある顧客との関わり方について、現時点で考えていることをまとめてみたいと思います。
ベキ分布する社会
ベキ分布に関しては、さんざんあちこちに書いてきましたので、詳しくは下のリストを参照いただくことにして、ここでは要点のみを書きとめておきます。いわゆる上にはさらに上が、下にはさらに下が存在するのがベキ分布の特徴で、これまでビジネスシーンでは前提にされることが多かった平均値や標準偏差が役に立たない世界です。しかし、実はそうした上下格差が著しいベキ分布がいまあらわれているのは、トーマス・フリードマンが描いたような『フラット化する世界
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CGM(Consumer Generated Media)とEGM(Employee Generated Media)
フラット化の1つの現象として欠かせないのがCGM(Consumer Generated Media)ですね。ブログ、SNSはもちろん、podcastや動画、そして、もうすこし高度なところにいくといわゆるマッシュアップ系のWebサービスですか。昨日の「ブロガーと企業のWebマスター」でも書きましたが、こうしたCGMが集めるトラフィックは馬鹿にならないわけで、下手な企業サイトではとてもアクセス数はかなわないわけです。そんな状況を体感してほしくて書いたエントリーが「企業のWebマスターのための「せめてこれだけは使っておこう」」だったりしたわけですが、数多くブックマークしていただいたうち、どのくらいの方が実践してくれたんでしょうか?
何度かすでに引用させていただいていますが、シックスアパートの関さんがいう「わたしは日頃からブログはウェブそのもだと考えています」は僕には本当にすごくしっくりくるんです。また、ロバート・スコーブルの『ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち』で紹介されている事例などは、企業で働く従業員そして経営層が社会に対して行うコミュニケーションとして非常に参考になります。
そんなこともあってCGMに対して、EGM(Employee Generated Media)なんてことを思いついたんです。そして、それは単にビジネスブログだけを指すのではなくて、企業WebサイトそのものがEGMなのではないかと思っています。
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SMO(Social Media Optimization)
つまり、企業Webサイトはブログ化していくのがよいのではないかと思うわけです。もちろん、すべてがブログのように時系列で更新が積み重なっていく形式に情報を組織化してしまうと不都合な部分もあると思いますので、従来のツリー型の階層構造を残す必要はあるでしょう。しかし、ブログ同様に外部の人が気軽に、そして、容易にリンクをはることのできる工夫はあったほうがよいのではないかと思うのです。トラックバックだったり、ソーシャルブックマークへの追加ボタンだったり、コンテンツによっては、RSS配信に向いているものもあるでしょう。僕が考える企業Webのブログ化はそうしたところが第一のポイントになっています。
そして、先日から紹介しているSMO(Social Media Optimization)も実はすこしも特別なことではなく、ブログのよさ(機能的にも、会話ベースのコミュニケーションの形も)を企業Webサイトにも取り入れましょうということだったりします。
あとはそうした継続的な情報発信の業務をスムーズに行うため、CMSの導入やそれにあわせた社内Web運用体制やワークフローの整備も必要でしょう。
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個を活かす会社、経営者はプロモーター
今泉さんが先にも紹介した「未来の企業が少し見えた」というエントリーで「ここで経営者の役割とは何か?”同士”の親玉であることでしょう。”塾長”といった雰囲気ですね。」と書いていらっしゃいますが、これは大いに賛成です。僕の言い方に変えると、個を活かす企業の経営者はプロモーターということになるでしょうか? 従業員に会社という神輿をかつがせるのではなく、従業員がステージにあがるサポートをする経営者。Appleのスティーブ・ジョブスみたいに自分が目立つんじゃなく(いや、目立ってもかまわないんですけど)、それ以上に従業員がステージに立てるようサポートしていく。それによって個としての従業員が力をつけ、そして、企業そのものも力をつけていく感じでしょうか。もちろん、それには従業員を活かせる形に、ビジネスモデルの変更が必要な企業も多いでしょう。ですので、僕はEGMだとかWebマーケティングだとかいう話は、単にWebでどうするかという話ではおさまらないと思っています。運用体勢をどうするの?といったところから、どう社会とコミュニケーションしていくの?ということもそうですし、そのコミュニケーションをビジネスに活かすモデルはどうなの?という話にまでつながるはずです。『マーケティング2.0』なんて本を書かせてもらっていますが、本当のマーケティング2.0はそこまでの形が見えてきてようやく本格化するのかななんて思います。もちろん、そのスタート地点での宣言として、あの『マーケティング2.0』があるわけですけど。
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と、まぁ、こんなところがこれまで考えてきた、これからの企業のWeb戦略に関するアイデアメモといったところでしょうか?
なんとなく自分がこれまで書いてきたことをまとめてみたくて、こうしたエントリーの形にしてみました。まだまだアイデアベースでしかないものなので、今後もうすこし具体的な肉付け作業が行えるといいなと感じています。
というわけで、今日のところはこのあたりで。
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