ブロガーと企業のWebマスター

昨日、ブログマーケティング勉強会議に出席してみて、いろいろブログマーケティングだとかSMOだとかについて考えています。

ブロガーなんていうと何か特殊な人種のように思えますが、「SMO:ウェブをブログ化する(ついでにここのトラフィック・データも開示)」のエントリーでも引用させていただいた、シックスアパート関さんの「わたしは日頃からブログはウェブそのもだと考えています」を前提とするなら、企業のWebマスターを含め、Webでの情報発信に関わる人すべてがブロガーなんじゃないのって思いました。
同時にインターネット上にはブログしかない、と。w

ブロガーとWebマスターの思い

そうやってとらえてみると、ブログマーケティングだとか、SMOだとかも、もうすこしわかりやすくなるんじゃないかなと思いました。
ようするに、ブロガーは企業のWebマスターに学ぶべきことは多いし、Webマスターはブロガーから学ぶことは多いはずだと思うわけです(というか、基本的に人は他人からは学んだほうが得策で、相手を批判してるのは有限な人生の浪費でしかないと思います)。

企業のWebマスターは、それなりに自社の商品をもっとアピールしなきゃいけないとか、自社に対する信頼を高めようと自社で行っている取り組みを伝えようとしていたりするわけです。より多くの採用希望者も集めたいし、投資家にも注目されたいと思っているわけです。企業でWebマスターなどやっていれば、それがミッションなのだから、Webマスター個人に対していい悪いを言っても仕方がありません。

一方、ブロガーのほうはいろいろブログを書く理由はあるにしても、やっぱり自分の書いた記事は読んでもらいたいし、自分が紹介した本がアフィリエイトで売れればそれはそれで嬉しいし、それこそブログを通じて何か思わぬメリットが得られればそれも嬉しいわけです。

こうやって考えると、Webマスターの動機とブロガーの動機ってそんなには変わらないわけです。
Webマスターが会社に言われて嫌々、Webの更新を行っているならそれはそれでちょっと話は違いますけど、そうでないなら、どちらも自分が発信した情報を見てもらえれば嬉しいし、それを通じて誰か素敵な人と知り合えれば幸せなことだし、情報を発信しつづけることで周囲の信頼が高まればありがたいわけです。関さんの言うとおりで、ブログとWebには何の違いもないと思います。

互いの誤解

それにも関わらず、どうも企業の方はブログマーケティングだとか、SMOだとかを変に特別視している傾向があるように感じますし、ブロガーが自分たちとは違うと誤解なさっているのではないかとも感じます。

一方でブロガーのほうもWeb上では企業だろうが他のブロガーだろうが、そんなに変わらないのに、マスマーケティング的発想が頭にこびりついているのか、企業が自分たちにはかなわない大きな力をもった存在であるかのように考えたりするのではないでしょうか? でも、実際にはアクセス数にしてみても、ヘタな企業サイトのPVを個人ブログが抜くことなんて全然むずかしいことではありません。
昨日、ブログマーケティング勉強会議に参加させてもらった百式さんなんて、500万PV/月あるそうです。ある程度、著名な会社でもそれだけのPVを稼いでるところなんて滅多にないわけです。そこまで行かなくても、メディアパブさんの2万PV/日でもそうですし、このブログの7,000-9,000PV/日くらいでも、結構いろんな企業WebサイトのPVより上です。ことWeb上でのアテンションを稼ぐ力に関しては、ブロガーの情報発信力は企業の情報発信力と比較しても、力関係はまったく遜色ないのです。

企業だろうが、個人のブロガーだろうが最初のスタート地点ではフラットです。あとはどれだけWebのネットワークでの法則性をうまく活かして、アテンションを集める努力を継続して行えるかで、結果はベキ乗則にしたがう雲泥の差がつくわけです。

共のゲーム

しかし、一歩、Webを離れれば、企業と個人の力差は明らかに存在します。主に財力が違うわけです。その内と外の差が個人であるブロガーには企業に対する怖さや不信感、反対に安心感や信頼にもつながるわけです。
企業側はこれに関しても理解しないといけないでしょう。そして、同時に一歩、Webの内部に踏み込めば自分たちの力はブロガーとまったく変わらないか、下手すればそれ以下であることも認識しなくてはいけません。

さらにいえば、これは企業側もブロガーの側もともに理解しなくてはいけないのでしょうけど、所詮、双方とも私的な存在で、私的な理由で情報発信を行っているということです。
そうした前提がある上で、ソーシャルと名のついた共同作業を実現しようとすれば、そこには私的なゲームのルールとは異なる、共のゲームのルールをともに理解する必要があるでしょう。そして、そのルールはまったく不完全な状態にしか整備されていないので、ルールがない以上、お互いに相手を思いやるなどしながら、多少は自身の利益を脇においておくことも必要になるはずです。どちらも行儀悪くすればすぐに溶け込んでいたはずのコミュニティの外に追いやられかねませんので、長期的な利益の享受を願うなら目先の利益にこだわるのは得策ではないのはおわかりでしょう。

まだ未整理状態だとはいえ、同じゲームを同じフィールドで行おうとするならルールは共有されなくてはいけません。そして、同じゲームで戦う以上、道具も同じであるのがよく、それはブログとWebは同じであるので、すでに整備されていると考えてよいでしょう。

では、同じルール、同じ道具で、同じゲームを行うのだとしたら、違いはどこで出していけばよいのか?
それは自分の手持ちの札をいかに効果的に用いられるかということだったり、どれだけゲームに真剣に打ち込めるか、また、練習と実戦を通じて、いかに力を磨いていくかということでしょう。
この言い方は嫌いだとは言いつつ、こう言っておきましょう。「コンテンツが大事だ」と。そして、そのコンテンツを生み出すあなたとそのコンテンツを受け入れてくれる誰かが大事なのだと。

SMOやブログマーケティングがわかりにくいと思ったら、ブログだとか他の道具のことはいったん忘れて、ゲームそのものをもう一度理解しなおすことがいいのではないでしょうか?

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企業のWebマスターの方でどうも上の話がまだピンとこない方は、ぜひロバート・スコーブルの『ブログスフィア アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち』を読んでみてはいかがかと思います。

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