サイト内のナビゲーションは不要か?
傾向としては、どうもページ単位のページビューが多いページは、外部から閲覧している割合が高くなる傾向があるのが見えてきています。つまり、それは内部リンクより外部リンクが有効に働いているということとも考えられます。極論をいってしまえば、サイト内のナビゲーション機能がなくなっても、サイト全体のページビューはそれほど失われない可能性があります。いや、単にページビューの数字を見るだけならきっとそうなるでしょう。
ページビューを気にするのであれば、SEOだけでなく、今日、メディアパブさんで紹介されていたようなSMO(ソーシャル・メディア・オーガニゼーション)の考え方が重要になるでしょう。サイトの内外にこだわることはSEOやSMOの観点からみても得策ではありませんし、RSSの利用状況をみれば、そもそも必ず自分のサイトに誘導しようと考える必要すらありません。適切に情報が伝わることだけを望むなら、ユーザーがどこでその情報を目にしてもよいわけで、むしろ、その機会を増やすことを考える必要があるでしょう。
繰り返しますが、多くのサイトでサイト内でのナビゲーションは数字的には外部からの導線と比較すればそれほど大きな影響力をもっていないのがわかります。しかし、だからといって、サイト内のナビゲーションなど、なくしてしまえと決断を下すのは早計な気がします。
というのは、サイト内のナビゲーションは単にページ間をつなぐ導線であると同時に、お店のメニューであり、通りに並んだ看板のような役割も果たしているだろうと思うからです。ようはクリックされなくても実はその存在に意味のある可能性があると思うのです。
といっても、それはロングテール的な意味ではなく、品揃え的な意味、あるいは、クリックされないメニューはクリックされたメニューを引き立たせるフレームの役割を果たしているのではないかという意味でです。
コンバージョンの数字だけでLPOを考えてはいけないかも
よくSEOやSEMの話で、LPO(ランディング・ページ・オプティマイゼーション)と称し、問い合わせや資料請求のページから余計なメニューをはずすことで、ユーザーの気持ちを迷わさずに問い合わせや資料請求のボタンを押させることを奨励するような考え方を述べることがあります。しかし、サイト全体のアクセスログを本気で念入りにいろんな角度からみていくと、本当にそれが正しいのかな?と強い疑問を感じます。それは1つのサイトのログを見るだけではわかりませんが、いくつか異なるサイトを見比べていると、だんだん見えてくる傾向だったりします。つまり、それでコンバージョンがあがったとしても、そうすることで実は全体の母数を減らすことにつながり、かつ将来的な問い合わせあるいは資料請求の絶対数を減らしてしまうこともあるだろうと思うのです。
昨日も別の話で取り上げましたが、囚人のジレンマは同じ相手と1回だけゲームをするのと、繰り返しゲームをする場合ではゲームの戦略は異なります。
1回だけとにかく問い合わせてほしかったり、商品を買ってほしいのであれば、そうしたアクションを起こさせるランディングページからそれ以外の導線をはずしてしまってもいいかもしれません。しかし、そのユーザーと長い関係を築きたいのであればそれは得策ではない気がします。
もちろん、サイト側が欲張って余計なメニューを載せるのであれば、それは無駄です。しかし、ユーザー側の立場にたって、ほかの選択肢を提示することは仮に最終的には当初こちらが意図したとおりの導線を選ぶにしても、無意味なことではないように思います。先のお店のメニューがフレームとしての役割を果たすのと同様の意味で。
Webサイトの内と外
最近、とにかくいろいろなサイトのログや、作られ方、そして、Alexaのランクなどをどちらかというとマクロ的な視点で見始めたのですが、サイト内部のみの設計にこだわってきたこれまでのWeb構築の考え方はすこし見直さないといけないかもと真剣に思っています。もちろん、いままでのやり方が間違っていたというのではなくて、実は見落としていたけど、今まで以上によくなる方法があるように思えてきました。
まだ、具体的にどうというところまで落とし込めていませんが、簡単にいえば、1つにはサイトの内外という境界を意識することをやめることと、もう1つはユーザーを制御しようとする導線設計をやめることではないかと思います。そして、情報設計を階層構造化のような面として捉える従来の方法だけでなく、ネットワークだとか、時間的な意識を加えたフローとして捉えることが必要になってくるだろうなと感じています。
このあたりは具体策は思い浮かぶんですが、逆にそれを束ねる理論みたいなものが思い浮かばないので、また追々。
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