顧客が企業にアウトソーシングしていたものが返還されはじめている

昨夜のエントリー「マーケティング空間の未来」では、「お客様は神様」ではなく、「お客様は単なる、そして、大切なパートナー」となる時代のマーケティングについて夢想した。
しかし、これは単なる夢想ではなく、ある程度、容易に予測できる未来であるとも思っています。

企業にアウトソーシングしていたものが返還される

「お客様は単なる、そして、大切なパートナーです」にいただいたコメントの返信としても書きましたが、「お客様が神様でなくなる」ということは、これまで客側が企業にやってもらっていたことをセルフサービスでやるようになるということだと思います。企業にアウトソーシングしていた製造やサービス的な部分を、自分の側に引き寄せるようになるんだと思います。ある意味でこれは、マルクスが「搾取」と呼んだ顧客から企業へのアウトソーシングの対象が再び顧客の側の作業として返還されてきているのではないでしょうか?

以前、紹介したMITのニール・ガーシェンフェルドによる『ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け』に描かれたパーソナル・ファブリケーションの技術も、生産能力を企業の独占状態から個人の手に再分配するものだと捉えられます。
そして、いうまでもなくパーソナル・ファブリケーションに先立つパーソナル・コンピューティングの技術は、すこし前まで企業があいだにはいっていた様々な作業を顧客の側に返還してくれています。
ネットバンキングやeトレーディング、オークション、各種手続きのWeb化など。かつては企業側の窓口担当者が受け付けていた仕事は、顧客の側に移り始めています。そこにWeb2.0的なマッシュアップだったり、ブログを使った個人ジャーナルみたいなものも加えてもいいでしょう。
さらにこれにパーソナル・ファブリケーションによってリアルな物の製造技術まで顧客の手で行えるようになれば、ビジネスは大きく変わってくるでしょう。

企業の売るものはもはや「完成品」ではなく、顧客をサポートするなにかしらのノウハウだったり、素材だったりに変わってくるのではないでしょうか? それが昨日の「お客様は神様」ではなく、「お客様は単なる、そして、大切なパートナー」となる時代への変化だと僕は思っています。

○○の未来

こうした流れは、別に僕だけが予測しているわけではありません。
はてブのコメントをいただいて「確かに」と感じましたが、鈴木健さんが進める「PICSY」などとも重なっているでしょう(PICSYのほうがより経済システムのインフラ寄りの話で、僕のほうはより表層的なレイヤーを対象にしていますが)。
さらにarclamp.jpさんが紹介してくれているトフラーの『富の未来』の話なども結局同じ流れの上にある話だと思います。
ベキ分布の世界情報=監視社会、『フラット化する世界』、ヒトの進化といったあたりと、Web2.0などの話を重ね合わせていくと、未来をそうした方向で想像するのは、ある意味、当然のように感じられます(まぁ、僕がそう想像してしまったから当たり前に思えるのかもしれませんが)。

とはいえ、予測しただけでは実現はしません。今後、経済的、社会的、技術的、倫理的なそれぞれの部分でのインフラ層の構築が進んでいくだろうし、進めていかなければいけないのだろうと感じています。
まだ、僕には具体的なアイデアはまったく浮かんでいませんが。

 


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