マーケティング空間の未来

どうも最近、マーケティングって分が悪いね。

マーケティングやってるほうは必死に「売ろう」として、あれやこれや考えてるんでしょうけど、いろんなブログを見たり、いろんな人が言ってることをざっくりと総合して判断すると、どうも企業のマーケティングに対する印象って「押し売り」「スパム」っていう印象ですよね。
実際、買う側のことなど、考えずに売ることばっかり考えてるような印象は僕でも持ちます。なんだかんだいってでてくる言葉といえば「いいものを作れば売れる」って、また売ることかよって感じます。

これは金儲けを否定するっていうのとはちょっと違うんです。
「売る」ことが儲けることだと無邪気に思っていることに対して「?」を感じるんです。
当然、買う側は「買う」んじゃなくて「欲しい」んです。それは買って使うためだったり、買って何かしらの満足や喜びを得るためだったりするわけでしょう。なのに、なんで「売る」ことばっかり考えるんです? 使うこと、満足してもらうこと、欲してもらうことから「利益」をあげようとしないんでしょう?

広く告げる前に、お前たちがまず相手を知る努力をしろって。コストとあなた自多の頭と心を使って。

未来のマーケティングを創造せよ

そんな風に企業のマーケティングは不信感をもたれているから、当然、効果も出ず、予算も削減されていくわけです。でも、いっそのこと、広告宣伝費として捉えるのではなく、交際費として捉えたらどうなんでしょうね?
同時に物を売るって従来のビジネスの捉え方から、コミュニケーションを物付きで使ってもらうっていうモデルにシフトしたらどうでしょう。まぁ、言ってみればホステスみたいな商売でしょうか。間違っても、ホストでも、キャバクラのお姉ちゃんでもないんですね。ホストは客側を甘えさせすぎてるように思えるし、キャバクラのお姉ちゃんは逆にお前達が甘えてるんじゃないの?っていう印象があるから。うん、これはあくまで印象なので、実際はそうじゃないよって反論は受け付けます。ただし、そういう印象になっちゃってるっていうのは、ある意味、事実なわけだから、それを受け入れた上で反論してください。

話がそれました。
企業は、というか、企業で働く従業員はホステスになってください。ホステスっていう響きがよくないのなら、コンサルタントっていう呼び方でもいいんです。とにかく話し相手になるんです。
当然、あなたはそれなりに知識や情報をもっている必要があるでしょう。でも、売るために話すわけじゃない。そこは営業職や販売員とは違うところ。なぜなら売り物はむしろあなたなんですから。
料金体系は1時間いくらでも、成功報酬でもいいでしょう。いまはそのへんの具体的な話は置いておきましょう。

とにかく、あなた自多が相手と話をすること自体が売り物、あるいは、相手に満足を与えるものと捉え、それがビジネスになるようにするんです。ついでに物を買ってもらってもいいでしょう。そのほうが話が具体的に発展するのなら、それもいいでしょう。でも、その場合、買ってもらう物は必ず自社生産の物ではなくていいということを考える必要はあります。これを実現するためには、アフィリエイトのような仕組みが企業間で必要かもしれません。

繰り返します。
そういったアフィリエイトみたいな仕組みが前提とはなりますが、あくまで忘れてはいけないのは、買ってもらってるのは物ではなく、自分自多が参加しているコミュニケーションおよび知識だと認識することでしょう。
医者みたいなもんです。医者は薬を売るのではないでしょう。手術や検査を売ってるわけでもないでしょう。何が医者のソリューションかってことです。でも、いまの医者というか病院よりは、サービスは大幅に改善されなくてはいけないでしょう。いまの病院の待ち時間みたいな不要なものは排除すべきでしょう。

すみません。あなたたちはもう神様じゃありません

さて、ここからが本題です。

企業側がもし上記のようなビジネス(というか態度?姿勢?)に変化した場合、売る側の信頼はだいぶ回復するでしょう。
そうなったら、今度は立場が逆転して買う側の信頼が大事になります。人気ホステスとの会話の時間を楽しみに予約しても、あなたの態度次第では門前払いになる可能性があるわけです。というか、あなたがどこかの企業で上記のように、あなた自身を売り物として働く立場だったら、不審な人を相手にするようなリスクは避けたいでしょう。ここでは売るあなたと買うあなたの境界はかなりあいまいになっています。それは企業と市場の関係もまたあいまいにするでしょう。
態度をあらためた企業側は広告することより、相手のことを知ることにつとめるようになっています。あなたが予約をしようとする以前に、企業はあなたの普段の決してほめられない態度についても知っているかもしれません。

これまで企業側が横柄だったから客の側はもっと横柄でいられたわけですが、企業側がそれをあらためれば客側もふんぞりかえっているわけにはいかなくなります。いま、あなたが企業に、そして、企業のマーケティングに不信感をもっているのと同じように、あなたの普段の態度、口を開けば他人に対する不満や愚痴しか聞こえてこない最悪なコミュニケーション能力に不信感をもっても不思議はありません。
そのとき、もはや企業にとって「お客様は神様ではありません」。コミュニケーションする企業にとって、もはや「お客様は単なる、そして、大切なパートナーです」。

囚人のジレンマモデルが面白いのは、実生活の状況の本質をとらえているところだ。今後けっして会わないだろう見知らぬ他人を助けるかどうか決断しなければならないこともある。だが、もっと多く遭遇するのは、今後もきっと会うだろう相手-家族や友人や同僚-を助けるかどうかの決断を迫られる場面だ。私たちは、それぞれの相手について、信頼性、誠実さ、協力の姿勢を考慮するだろう。つまり、私たちは相手が自分(や、ほかのだれか)を過去にどう扱ったかに基づいて決断をする。
スティーブン・ミズン『歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化』

ブログはWeblogの略だって知ってます?
そう、それは過去をいつでも誰もが参照できるようにするツールです。
それは世界中から閲覧可能なワールド・ワイド・ウェブの上に存在するツールです。

さて、あなたは企業に働く従業員として、自社以外の企業から信頼を判断される対象者として、どれだけ過去ログの中に信頼を与えるコミュニケーションを展開できていますか? 誰かの悪口や子供じみた不満を能天気にも書き綴っていたりしなかったでしょうか?

未来のマーケティングはきっと企業側のみが責任をもって行うものではなく、消費者あるいは生活者あるいは市民の側も責任をもって参加しなくてはならないものになるでしょう。
あなたに関する情報は、相手から信頼されるものでしょうか? 相手に自分の将来を不安にさせないようなあなたのLogには書き込まれているでしょうか?
市場での交換にもちられる貨幣はいつでも信頼を頼りにしてきましたが、未来のマーケティング空間では文字通りの「信頼」が交換の前提条件になるでしょう。そして、それは双方向性な信頼のマッチングを要求するものとして。

コミュニケーションとマーケティングの未来を僕はこんな風に予測しています。
そう、今回はあくまで未来を予測する試みでした。

P.S.

もうすこし考えを整理するため、続編的なエントリー「顧客が企業にアウトソーシングしていたものが返還されはじめている」を書きました。
(2005/08/27 20:46追記)

 


この記事へのコメント

  • hash

    ずっとべたな営業をやっている人間から言わせてもらうと、ごく当たり前のことです。もちろん、だから簡単なことだ、というわけではありませんが。
    色々横文字使ってもっともらしい事を言っても商売の基本は変わらない、ということですかね。
    しかし、自分を「神様」だと思っているお客様がなんと多いことか(笑)
    2006年08月27日 17:52
  • gitanez

    hashさん、コメントありがとうございます。
    営業をやっている方にとっては、確かに当たり前に思えることですね。
    でも、「商売の基本は変わらない」は、hashさんのいう意味はわかりますが、一方では大きく基本が変わる部分もあると思います。
    それは営業以外の部分です。サービス提供の部分だとか、商品の製造に関わる部分です。
    僕が考えるに「お客様が神様でなくなる」ということは、客がこれまで企業にやってもらっていたことをセルフサービスでやるようになるということだと思っています。企業にアウトソーシングしていた製造やサービス的な部分を、自分の側に引き寄せるようになるんだと思います。
    さっき、ちょうどいい例として、A. トフラーの『富の未来』について書かれたarclampさん(http://www.arclamp.jp/blog/archives/000946.html)の記事を読みましたが、そこに銀行の窓口とATMの例が書かれていました。
    銀行の窓口業務の人にやってもらっていたことを、そこにシステムをはさみこむことで客の側に行わせる。こういう事例がますます多くなってくるのでは?ないかと思うわけです。
    とうぜん、そこでは営業もこれまで自分の同僚がつくっていたものを売るわけではないですし、それを売ることが営業のミッションではなくなるでしょう。
    「自分を売る」っていう意味では同じですが、ちょっとこれまでの営業とも違うんじゃないかななんてことも感じます。

    詳しくは別のエントリーでまとめる予定です。
    2006年08月27日 19:38

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