クリエイティブと著作権

昨日、当ブログのエントリーと酷似する内容のエントリーを別のブログで掲載されているというご報告をある方からいただきました(ここで「ある方」が誰かは問題がその方に波及するのはいけないので伏せさせていただきます)。

私自身、自分の目で確認したところ、確かにその方の報告どおりでした。
調べてみると、そのブログは単なる個人のブログではなく、ある企業のブログでした。
(こちらから確認をとらせていただき、きちんと「影響を受けた」点をお認めいただいたので、ここでは該当する企業名もブログ名も表記しません)

クリエイティブコモンズによる当ブログの著作権表記

当ブログは、以下のクリエイティブコモンズの内容にあるとおり、「複製、頒布、展示、実演すること」「二次的著作物を作成すること」を第三者に認めています。
しかし、それは「原著作者のクレジットを表示しなければなりません」という条件のもとでの権利であり、私のクレジットを掲載してはじめて可能であることです。

Creative Commons License

クリエイティブコモンズによりcopyrightをsome rights reserved.にしているのは、ブログのような著作物において、ある程度の複製(ブログ記事の一部引用や書かれたアイデアの展開)はやむをえないと考えておりますし、それを禁じてしまっては、逆に他のブロガーの皆さんの創造性を不必要に規制することになってしまうと考えているからです。

信用、信頼性に敏感になっているインターネット環境

そういうこともあって、今回のことが非常に残念に思えたのは、クリエイティブに関わる企業の方が、私の著作物に酷似する著作物を「原著作者のクレジットを表示」せずに制作されたということでした。
著作権はもちろん法律としては、著作者の主に金銭的、営業的な権利を守るためのものです。
しかし、同時にそれは著作者とその著作を複製しようとする第三者の双方の権利や信頼性を守るものではないかと思います。

特に現在のインターネット環境下におけるブログのように、たいていの記事が公開されてすぐにある程度の人に閲覧され、かつWeb2.0と一般的に呼ばれる情報共有の起こりやすい環境においてよいものも悪いものも即時に共有することが可能な状況を鑑みる場合、著作物の複製には著作者の側もそれを複製する側も十分注意が必要なのではないかと思います。
それはひとえにインターネット環境においては、信用、信頼性が完璧ではないがために、逆に個々人がそれを重視しているということがあるからだと思います。
個々人が情報の信用、信頼性に敏感になっている環境では、ささいなことでそれまで築いていた信用も信頼も一瞬にして崩壊することもあるので、配慮が必要だと思います。

クリエイティブと著作権

また、もう1点。
今回のことであらためて気づかされたのは、クリエイティブに関わる人、著作に関わる人が、いかに他人の著作物に対して敬意を示すことが大事かということでした。
他人の著作に対しての敬意が欠けていると、自分の制作する著作物のクオリティはおそらく劣化するのではないかと思います。
かつてうちの社長が「クリエイターは他のクリエイターに拍手をおくることで育つ」と言っていたのを思い出しました。
ブロガーが自分以外のブロガーのエントリーに対して、ブックマークという形で評価を送るのも同じようなことでしょう。
よいブロガーは他のブロガーのエントリーにきちんと敬意を表している気がします。

多くのブログのエントリーには著作権という意味では、営業的な意味での侵害は発生することはめったにありません。
しかし、だからこそ、逆に他の著作者への敬意、著作者と第三者の権利(信用と信頼)をともに守るという意味で、より一層、著作権に関して考慮する必要があるのではないかと思っています。
たかがブログと思うことが、著作やクリエイティブに関するあなたのもつポテンシャルを落としてしまっているのかもしれません。

あらためて自戒の意味もこめて。

PS.
該当記事は「削除」という対応をされたようです。
一度、公開したのであれば、単に「削除」することで終わりにするのではなく、きちんと公式に(私にというのではなく、ネットユーザー全員に対して)説明責任をはたす形で何がしかの弁明を記載すべきだったのではないかと思います。
それが企業に求められるアカウンタビリティではないでしょうか。
(2006/07/21 22:02追記)

その後の経緯として「不祥事の際の企業の対応にあらわれる企業の基本姿勢」を追加
(2006/07/21 23:22追記)

 

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