とっても科学に偏ったおすすめの18冊

いままでこのブログで紹介してきた本をなんとなくまとめてみました。
こうやってあらためて並べてみると、とっても科学的な読み物に偏ってますね。

情報社会、情報学、情報デザイン

1.情報学的転回―IT社会のゆくえ/西垣通
情報というものを単なるIT社会における狭義の情報としてでなく、人間だけではないすべての情報が生きるために役立つものとして外部観察の結果、生み出すものとしての情報という視点から、現代の情報社会の問題点を歴史的観点からひもとき、未来の情報社会、IT社会に警鐘をならす基礎情報学に関する入門書的1冊。(書評投稿日:2006年06月18日)

2.情報社会学序説―ラストモダンの時代を生きる/公文俊平
多摩大学情報社会学研究所所長を務める公文俊平氏による近代=モダンの最終段階としての情報社会の考察。初版第1刷が2004年10月28日にも関わらず、随所にWeb2.0で議論されていることに相関関係の強い話題が見られます。(書評投稿日:2006年05月29日)

3.「みんなの意見」は案外正しい/ジェームズ・スロウィッキー
梅田さんの『ウェブ進化論』で紹介された影響もあってか、なんとな~くWeb2.0的な本として読まれてしまっているこの本だけど、あらためて今思うと、上の公文氏の描き出す「公」「私」につづく「共」という主体性についての考え方を考察した本なのだろうなと思います。「個人の回答には情報と間違いという2つの要素がある。算数のようなもので、間違いを引き算したら情報が残るというわけだ」という言葉は、ブロゴスフィアで時折おこるもめごとがいかにWeb2.0~ラストモダンの時代においてはナンセンスであるかを示しているように思います。(書評投稿日:2006年03月31日)

4.アンビエント・ファインダビリティ ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅/ピーター・モービル
情報とのインタラクションを1つのテーマに、モバイルコンピューティングや、セマンティックスとフォークソノミー、プル型とプッシュ型などの課題を見事に整理した本。ファインダビリティを安易にWeb上での情報検索性=SEOやSEMの問題だと考えている人には、ぜひこの本を読んでみることをおすすめ。(書評投稿日:2006年05月07日)

脳科学

5.脳と創造性「この私」というクオリアへ/茂木健一郎
たくさんの著書をもつ日本を代表する脳科学者・茂木健一郎氏による「創造性」をキーワードとしたエッセイ集。非常にわかりやすく脳というものを紹介してくれているので、脳科学初心者にもおすすめします。(書評投稿日:2006年06月05日)

6.考える脳 考えるコンピュータ/ジェフ・ホーキンス
PalmやTreoの生みの親として知られるジェフ・ホーキンスによる大脳新皮質の研究により、本当の知能とは何か?に焦点をあてた本。「人工知能」や「ニューラルネットワーク」といった、これまで知能をもつ機械として歴史的に注目を集めた技術の問題点をあらわにし、なぜ、それが「真の知能」を持つにいたらなかったかを明快に示してくれています。(書評投稿日:2006年06月05日)

現代物理学

7.量子が変える情報の宇宙/ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー
この本を読んで僕は一気に現代物理学や数学、そして、情報というものの現代における意味に強く興味を持ちました。量子力学、相対性理論、クロード・シャノンの情報理論、エントロピーといった現代物理学の歴史をひもときんばがら、新しい情報理論の未来を考察しています。超おすすめ!(書評投稿日:2006年04月24日)

8.量子コンピュータとは何か/ジョージ・ジョンソン
コンピュータの歴史をひもとき、さらに量子力学をわかりやすく解説することで、いまひとつピンとこない量子コンピュータとは何かを非常にヴィヴィッドに紹介してくれている1冊。情報量が指数関数的に増え続ける現代のコンピューティングの問題についても取り上げることで、なぜ量子コンピュータが注目されたかもわかりやすく解説してくれています。(書評投稿日:2006年05月03日)

ネットワーク科学

9.新ネットワーク思考/アルバート=ラズロ・バラバシ
Webのネットワーク、インターネットのネットワーク、社会的ネットワーク、企業内ネットワーク、生態系ネットワーク、細胞内ネットワークなど、複雑な世界の部品同士の組み合わせの中に、共通するスケールフリーのネットワークの法則性が見出せることを示したネットワーク科学の代表的な1冊。Web2.0とは何か、なぜネットワークにおけるつながりが重視されるのか、そして、そこにはどんな問題があるのかを考えるにはおすすめの1冊。(書評投稿日:2006年04月01日)

10.「複雑ネットワーク」とは何か/増田直紀
まずは複雑ネットワークの世界を手っ取り早く理解しておきたいのなら、おすすめはこれ。ネットワーク科学の概要を非常にわかりやすくまとめてくれています。(書評投稿日:2006年03月06日)

11.複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線/マーク・ブキャナン
上のバラバシが科学者によるネットワーク科学の紹介なら、こちらはサイエンス・ライターであるマーク・ブキャナンによる1冊。その違いが同じネットワーク科学について語るにしても専門家の目から語るのと、より読者に近いライターの目で語るのとで違いはあります。より包括的にネットワーク科学を知りたいならこちらがおすすめかもしれません。(書評投稿日:2006年03月09日)

数学

12.偶然とは何か―北欧神話で読む現代数学理論全6章/イーヴァル・エクランド
「偶然」「運命」「予想」「カオス」「リスク」「統計」の6つのキーワードをテーマに、日本人にはあまり馴染みのない北欧神話の物語も紹介しながら、現代の数学にとってのトピックをわかりやすく紹介してくれる非常に興味深い一冊。複雑系、量子力学、不完全性定理などに興味のある方にはぜひ。(書評投稿日:2006年06月09日)

進化論

13.盲目の時計職人/リチャード・ドーキンス
『利己的な遺伝子』、ミーム論で有名なダーウィニスト、リチャード・ドーキンスによる進化論とはどういうものか、なぜ進化論で生物の進化を説明でき、他の理論ではそれができないのかを以上に丁寧に解説してくれた本。僕はこれで一気に進化論を好きになりました。(書評投稿日:2006年02月18日)

14.眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く/アンドリュー・パーカー
40億年前に生まれた生命は、なぜ5億4300万年前、カンブリア紀の始まりと同時に、突然爆発的な進化を見せたのか?ダーウィンをも悩ませた進化論最大の問題を気鋭の進化論学者アンドリュー・パーカーが非常に鮮やかな分析で解いた注目の書。上で紹介した西垣通さんの「生命情報」というものを理解するには、まずこの本を読むことをおすすめします!(書評投稿日:2006年03月24日)

その他

15.ものづくり革命 パーソナル・ファブリケーションの夜明け/ニール・ガーシェンフェルド
マサチューセッツ工科大学(MIT)ビット・アンド・アトムズセンター所長であり、本書で紹介されているファブ・ラボを統括しているニール・ガーシェンフェルドによる、新しいものづくり、新しいリテラシーの形としてのパーソナル・ファブリケーションについて、ファブラボでの多彩な事例をまじえて紹介してくれている1冊。パソコンの次はこれですね。(書評投稿日:2006年04月29日)

16.自由は進化する/ダニエル・C・デネット
訳者である山形浩生が端的に述べているように「自由に関する本」。それ以外にいいようがないのだけれど、その射程はおそろしく広く、宇宙の誕生から生命の誕生、そして、人の自由の誕生からその現在、そして未来までも見通し、自由の歴史をひもといている1冊。哲学にありがちな遠回りが僕には心地よいが、はたして皆さんはどうか?(書評投稿日:2006年01月23日)

17.文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの/ジャレド・ダイアモンド
分厚い上下巻による結構読み応えのある本。過去の歴史における文明崩壊(イースター島、マヤ、北米アナサジ、ノルウェー領グリーンランド)、現在、文明崩壊の危機に瀕している地域(ミニカ共和国とハイチ、中国、オーストラリア)、そして、過去に危機から立ち直った地域(徳川幕府期の日本)をそれぞれ丁寧に考察することで、現在、グローバルなレベルで進行する危機をいかに乗り越えていけばよいかを問うています。その見事さに読み終わったときには思わず拍手してしまいました。(書評投稿日:2006年02月26日)

18.第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい/マルコム・グラッドウェル
口コミやウィルス感染などがある時、爆発的な勢いで広まる現象に潜む閾値をあつかい、全米でも日本でも注目を集めた『ティッピング・ポイント』(現邦題『なぜあの商品は急に売れ出したのか 口コミ感染の法則』)の著者マルコム・グラッドウェルが、心理学の分野で「適応性無意識」と呼ばれる、理屈ではなく一気に結論に達する脳の働きを取り上げ、熟考が必ずしも正しい結果を導かなかったり、逼迫した状況におかれた脳がいかに正確な判断を下せなくなるかといった非常に興味深い考察を全編にわたって紹介してくれている1冊。(書評投稿日:2006年03月10日)

科学本初心者におすすめはこの3冊。当ブログでもよく売れてます。

  

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