80億以上の URL で構成される Google のインデックスは、他に類がなく、インターネット上の最も役に立つWebページの包括的な集合体です。
現在 55,521 件のFeedソースが登録されており、9,368,312 件のFeedがあります。
24時間以内に登録されたFeedソースは 293 件、最新Feedは 483,107 件です。
約80億(Google_URL)-約9400万(feedpath_feed)=約79億
しかし、24時間の最新Feed 483,107 件がそのままの割合で推移しても、
365日後には、 176,334,055 件の累積Feed数となり、
約80億(Google_URL)-約1億6千万(feedpath_feed)=約77億4千万
となる。
だが、話はそう単純ではなく、1日293件の登録Feed数を考えると、
同じく365日後には、登録Feed数は、162,466 件といまの3倍となる計算が成り立つ。
つまり1日の最新Feedも1年後には3倍になっていることが考えられる。
そんなことももろもろ加味して計算すると、
1年後のfeedpathの累積Feed数は、355,995,692 件くらいには軽く達する。
これは1日の登録Feed数や世の中の1日のFeed発信件数が変わらなかった場合である。
これから世の中的にFeedを発信するWebサイトが増え(例えばブログ利用者が増えたり、現在、Feed対応していないサイトが対応したり)、feedpathの利用者が増えれば、この年間3億5千万という件数が、簡単に10億くらいにはなるのではないかと思える。
ちなみに登録速度などが変わらなくても712日後には10億に達するが、おそらく現実的には、その数字に達するのにそんな時間は必要としないし、Googleの数値に達するのにも同じ計算で導かれるような2,321日後などということはないだろう。
これはまだ、それほど世間的には広く認知されているとはいえないfeedpathの数字である。
だからこそ、この情報の劇的な増加がいかにおそろしい速度をもっているかがわかるというものだ。
自然や科学技術におけるプロセスの多くは、レンガを1つ1つ積み上げるように、線形的、すなわち等差級数的に進行していく。時間がそうだし、宇宙の膨張やお金、そしてある種の物理的変化に関与する原子の数もそうである。しかし、確率や爆発、福利預金や人口、そして神経連絡の増殖など、1つの親から複数の子が生まれるようなプロセスは、幾何級数的、指数関数的、あるいは乗法的に増えていく。ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー『量子が変える情報の宇宙 』より
明らかに現在のWeb上での情報の生まれるプロセスは「1つの親から複数の子が生まれる」プロセスだろう。
1つのニュース記事やブログエントリを元に、複数の引用、意見を含むトラックバックが生まれ、それらすべてがFeedを生成する。
脳科学者の茂木健一郎氏は、『脳と創造性』(PHP研究所刊)の中で、1996年にイタリアの研究グループが猿の前頭葉の運動前野で発見したミラーニューロンという神経細胞について取り上げている。
ミラーニューロンは、他者の行為を自分自身の内的な運動表象に対応づけることで、自分の行為と他者の行為を結びつける役目を果たすものだと言われている。ミラーニューロンはその後、人間の前頭葉にも見出され、その部位が人間の脳の中で運動性言語野とされるブローカ野にあったために、言語との結びつきも注目されているものだ。
茂木氏は、このミラーニューロンを元に「あたかも鏡に映したように自己の行為と他者の行為を共通のプロセスで処理する脳内モジュール」としてミラーシステムというものを提起している。
良いソムリエが、客に合わせてそれまでにないワインについての語り方を生み出すことができるのも、人間の脳が自らの置かれた現場の文脈を読み、それにあわせた情報を発信できる能力を持っているからである。この文脈の読み込みに、ミラーシステムや、それを一般化した偶有性の神経機構が関与している。(中略)ソムリエは、ワインに対するコメントを、客と「共創」している。茂木健一郎『脳と創造性』より
ブログを中心とした共創のプロセスが、Web上の情報の指数関数的増加に大きく関与している。
先に引用した『量子が変える情報の宇宙 』の著者バイヤーは、「数の海でおぼれないためには、宇宙論学者や素粒子物理学者の商売道具である対数に基づいた考え方、すんわち累乗的考え方を、思考を進める際の習慣にしていかなければならないのだ」と言っている。
情報の指数関数的増加にともないWeb2.0でいわれるようなロングテール傾向はより一層拡大するだろう。しかし、それも対数的視点に立てば、恐竜の首と尻尾の差はそれほど大きくないはずだ。
常用対数は、地震のリヒター・スケール(マグニチュード)にも用いられている。リヒター・スケールには10段階しかないが、段階が1つ上がるごとに、32倍のエネルギーが解放されることを意味する。したがって、破局的な大地震とほとんど気づかない微小地震とをエネルギー単位で比較すると、何と1000兆倍となる。数千兆の開きのある数など誰も想像できないので、地震のマグニチュードにおいては、理解しやすい等級分けを行うために常用対数が使われているのだ。ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー『量子が変える情報の宇宙 』より
おそらく、ロングテールも対数的視点でみれば、おそろしくリアルさを欠いた恐竜ではなく、手のひらにのるトカゲ程度に変換できるだろう。
そして、このマグニチュードの等級分けって考え方には、Web上でもどこかで見覚えがあるのではないだろうか。
そう。Google PageRankがそうだ。
スケールフリー・ネットワークで多くのリンクを集めるハブは指数関数的な傾向をとる。
つまり、対数の逆関数である指数関数が各URLに集まるリンク数に見られるわけで、大きいものと小さいものの開きは地震のそれと同じく想像をこえた開きなのだろう。
Web2.0を技術的な面で一手に引っ張っているGoogleはこうした科学的視点で、一般の常識的な視点とは違った形でWebを引っ張っているのだ。
日本のWeb技術者、Webマーケティング屋もすこしこうした視点で頭を使ったほうがいい。
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