SEOスパム

普段、Webでのマーケティングを仕事としている立場からはっきり言っておこう。

昨日のエントリ「「最初の2秒」と「みんなの意見」が正しい」でもすこし触れたが、集合知という観点から検索エンジンのことを考えると、SEO業者のやっているSEOスパム的な行為はほんとにウザイ

業者に発注する企業の側も、ちゃんとアドワーズ広告なんかが用意されてるんだから、スパム的なSEO対策にお金を出すんじゃなく、広告の側にお金を払うように業者をきちんと選定すべきだと思う。

いくらコンプライアンスに力を入れていますなんて、いってもオンライン上ではそんなことをしてればコンプライアンスも何もあったものではない。

■いまどきプチ整形・プチ豊胸だけではモテません


リンクポピュラリティをあげるためだけの大規模なリンクネットワークの構築を行って(ペナルティを与えられて)いる一方で、ぐちゃぐちゃでまったくセマンティックな意味での整形がなされていないhtmlソースコードをそのまま放置しておきながら、プチ整形・プチ豊胸よろしく見栄えだけをどうにか工夫して、ブランド力やユーザビリティを確保しようなんて、甘い考えは捨てたほうがいい。

そんなにモテたいなら見栄えもいいが、中身もちゃんと磨いてほしいし、外部とのコミュニケーション力も磨いてほしい。

個人ブロガーがこれだけ毎日頻繁に情報の発信を行っているのに、企業のWebサイトといえば、よくて一週間に1回なんの身にもならない当たり障りのない情報発信を行うだけ。

■話し上手、聞き上手になりましょう


SEOに戻っても「タイトルタグが重要」とか「アンカーテキストとリンク先のタイトルタグ内のキーワードの一致が重要」とか、「ページ内およびサイト内のキーワード頻出度が重要」とか言ってるわけで、それって端的に情報量を増やせ!すなわちちゃんとコミュニケーションしろ!ってことをいってるのがわからないのだろうか?
あるいはリンクポピュラリティを考えても、外部からのリンクを本気で増やしたければ、ソーシャルブックマークでも個人ブロガーに引用・参照されるにしても、Webの記事そのものの魅力を向上するってのが何より正しい手段なんじゃない?

つまり、それは自分からも積極的に話すし、人の話もちゃんと聞くっていう、話し上手かつ聞き上手になろうってこと。

それとも御社のもっている情報価値ってそれも目指せないほど、貧弱なのでしょうか?
それとも、ただの怠慢?

いまどき、そんなことで人を惹きつけられるわけがないですよね!
がっかりです。


■組織における多様性、独立性、分散性


多くの企業って、ほんとにそんな当たり前のことがわからないのだろうか?

いや、わかっているはずだ。
すくなくともわかっている人は何人かいるはずだ。

しかし、多くの企業では、1つ1つのノードである個人が、多様性、独立性、分散性をもたず、個人で発言できるだけの力を、従業員個人も企業も得ることができないような組織体制、組織文化を築いてしまっていることに大きな要因があるのだろう。

これは意外と深刻で根の深い問題で、明日を支配するためには不可欠な改革だといえる。

つまるところ、フルタイムの従業員さえ、これからはボランティアのようにマネジメントしなければならない。彼らは有給ではあるが、彼らには組織を移る力がある。実際に辞められる。知識という生産手段を持っている。
ピーター・ドラッカー『明日を支配するもの』より

自社の直接的損得だけしか考えない自己中心的なスタンスでは、ネットワーク思考はできない。ひとつのノードの振る舞いが他のノードにも影響を及ぼすせいでネットワーク全体がゆらぐことが理解できないからだ。
アルバート=ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考 ~世界のしくみを読み解く~』より

そして、変化をためらうものは、とりあえず短期的な視点から、SEOスパムに走る。
そして、本来、多くの人が享受できるはずの検索エンジンによる集合知が危機に瀕する。
これって立派な環境問題だね。

なんとか企業も組織内の「生物多様性」の重要性に気づいて、もっと真剣に取り組むようにならないものか?
ネットワーク・複雑系的視点では生物多様性がサステナビリティ(持続可能性)の重要なキーであることをちゃんと理解しないとね。
Web2.0がもたらすネットワーク時代は明らかにそういう方向性を示しているんだけどね。

大きな波に飲み込まれてしらないよ。

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