2010年04月06日

プロセスをマネジメントしたければプロセスを削れ

プロセスマネジメントにありがちな間違いのひとつに、ミスを減らそうとして、そのチェックをするプロセスを増やしてしまうということがある。

もちろん、すべての場合にそれが間違いというわけではない。
そのチェックが機械によって自動的に行われるのであれば大丈夫だし、そもそものプロセスが単純なものであれば、ひとつ工程が増えても大きな問題にはならない。

ミスを減らそうとして、そのチェックをするプロセスを増やしてしまうことが問題になるのは、そのミスが実はすでに多すぎて複雑な工程からなるプロセスそのものが負担となり、業務の遂行を圧迫しているケースだ。
すでに多すぎて複雑すぎるところに新たにチェック工程など追加すれば、業務の圧迫度合いはより大きくなり、また違うところでミスが起きやすくなるのは目に見えている。

つまり、そういう間違った改善策を選ぶのは根本的なプロセスの問題点が見えていないからだし、そもそもプロセスマネジメントのなんたるかをわかっていないのである。

なぜプロセスをマネジメントするのか

結局、なぜプロセスをマネジメントするのかを捉え損ねているのだろう。
企業内でプロセスマネジメントを行うのは、事業を円滑に、かつ効果的にまわすためではないだろうか?

そうであるなら実はプロセスなど、シンプルであればあるほどよい。余計な工程が増えれば増えるほど、円滑さは犠牲になるし、ミスも増える。
なんでもかんでも工程を細分化して増やせばいいというものではない。選択的な分岐や条件設定を増やせば増やすほど、プロセスは煩雑になり、プロセスをまわすこと自体の負荷ばかりが増えて、本来の業務の意味合いが意識から薄れていく。

なんでもできますと言わない

こうしたプロセスマネジメントの間違いが起こりやすいのは、実はその企業内でマーケティングがうまくいっていないことが根本原因であることが多い。

自社の事業ドメインの市場規模を含めた動向、顧客の要求や評価をしっかり考えた上で適切な商品/サービスの絞りこみ、メッセージの発信やコミュニケーション、価格設定や販売戦略が組み立てられていなければ、とうぜん、顧客の要求に応じて商品/サービスをデリバリーする側のしくみを効率的に組み立て、組織化することはできない。そこで顧客の要求ならなんでも受け入れるスタンス、うちはなんでもできますよというスタンスでは、業務プロセスのデザインなどやりようがなく、本来ならプロセスマネジメントなんてしようがないのだから。

なんでも可能にするプロセスなど、いくつ条件分岐をつければ成り立つか想像もつかないし、もし成り立ったとしても、そのプロセスを人が運用することは不可能だ。
だから、そういう状態のところに、ひとつのミスをつぶすチェック工程などいれようものなら、みすみすミスの可能性を増やしているようなものだ。

それよりも本来必要なのはシックスシグマのDMAICでも提唱されるように自社のコアプロセスと主要顧客の要求を照らしあわせ、いまあるプロセスの余計な工程をワークアウトすることだ。金を稼ぐために金にならない内部業務プロセスはできるだけ減らすのが道理だろう。

バランストスコアカードの4つの視点

こうしたことが実は売上にも、企業組織の成長戦略にも個々のスタッフの教育/学習のフォーカスと効率にも影響を与えることは、バランストスコアカードの4つの視点(財務、顧客、業務プロセス、成長・学習)を参照すれば明らかだろう。
そして、その4つの視点をバランスさせることが経営の戦略であるし、マネジメントであろう。ここはどれかひとつを見ているだけではうまくいかず、経営的な視点で4つを統合的にみてデザインするしかない。だから、この仕事は本来経営層にしか手がつけられない。

自分たちが誰に何を売って利益をあげるのか。それにはどのようなオペレーションプロセスをシステム化する必要があるか。また持続的な事業展開のためには組織にどのような成長戦略が必要で、そのために個々人が何を学習し、そのためにどのような教育機会を設けるか。そうした様々な戦略がバランスされてこそ、プロセスマネジメントがうまくまわりはじめるはずだ。

そうした根本的なところから目をそらして場当たり的な改善策を講じたりしているようでは状況は悪くなる一方だろう。

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posted by HIROKI tanahashi at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業と事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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