『複雑な世界、単純な法則』から学ぶネットワーク理論

これまで、下記のようないくつかのエントリーで、度々、言及してきたが、最近、ネットワーク科学にはまってる。

セグメンテーションとノード間の隔たり
「複雑ネットワーク」とは何か
ネットワーク分析とマーケティング

ネットワーク科学をおもしろいと思うのは、個々の要素をとりあえず忘れて、ネットワーク間のつながりそのものを見て、そこからネットワークというものに共通な法則性を「数学的な視点」で導き出そうとするところだ。
スモールワールド・ネットワークのネットワーク間の距離の極端な短さ、カオスから創発的にパレートの法則のようなべき乗則が生まれるスケールフリー・ネットワークの不思議さ、クラスターとコネクターの関係など、僕のようなマーケティングに関心をもつ人間には非常に興味深い話が満載なのが、ネットワーク科学だ。

僕がまずネットワーク科学に興味をもったのは、マーク・ブキャナンの『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』を読んだのがきっかけ。

本書で伝えたいことの1つは、人間の社会に数学的な法則と意味あるパターンを発見できるかもしれない、ということなのだ。社会・政治科学者の故ハーバート・サイモンがかつて述べたように、科学の目的は「秩序なき複雑性に意味ある単純性を見出すこと」である。
マーク・ブキャナン『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』より


こんな視点で書かれている点が、僕の興味をひくところだ。

スモールワールドという考え方そのものは驚くほど単純である。必要なのは、少数の長距離リンク、もしくはきわめて多数のリンクをもつハブだけで、これでもうスモールワールドになる。こんな単純な事実が、人間の脳や、われわれを社会につなぎとめているさまざまな人間関係の網、さらには話したり考えたりするときに使う言語にいたる、あらゆる構造にスモールワールド・ネットワークが生じる理由を明らかにする。
マーク・ブキャナン『複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線』より


不思議に感じなければ、そのままやりすごしてしまいがちな脳のしくみやインターネット上での人と人とのつながり、なぜ一部のサイトにアクセスが集中するのかなど、そんなことに今まで感じたことのない新しい視点をもたらしてくれるのが、ネットワーク科学のおもしろさではないかと思う。
自分の感覚や単純な調査データにたよるばかりマーケターや、いまだにWeb1.0な発想で平面的、直線的、閉鎖的な発想でしかサイト設計のできないWeb制作関係者にこそ、ぜひ読んでもらいたい一冊だ。

Web2.0という非常にネットワークが緊密かつ広大に構造化された空間で起こる出来事、人々の動向を把握するには、必ずこうしたネットワーク的な視点が不可欠になるはずだから。

目次
・序章 複雑な世界を読み解く新しい方法
・「奇妙な縁」はそれほど奇妙ではない
・ただの知り合いが世間を狭くする
・スモールワールドはいたるところにある
・脳がうまく働く理由
・インターネットがしたがう法則
・偶発性が規則性を生みだす
・金持ちほどますます豊かに
・ネットワーク科学の実用的側面
・生態系をネットワークとして考える
・物理学で「流行」の謎を解く
・エイズの流行とスモールワールド
・経済活動の避けられない法則性
・偶然の一致を越えて



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