ポストSEOはSMO? いやUEOでしょ その2

さて、前回に引き続き、ポストSEOはSMOなのか、あるいはUEOなのかって話。

まず、ソーシャル・マーケティングという言葉は、実は昔からある。
コトラーとザルツマンによる定義は下記のとおり。

ソーシャル・マーケティング

企業が非営利組織や政府と手を組み、“山積みする社会問題・現象を解決するため、伝統的マーケティング手法の「アイディアを売る」戦法をあてはめたもの”

コトラー&ザルツマン、1971



いま、言われているSMO(Social Marketing Optimization)の"ソーシャル・マーケティング"というのが上記の意味では使われているのではないのは確かなように思える。

SMOという言葉がどこから来たかははっきりしないが、1つにはこんな出所がある。

T. L. Pakii Pierce氏が立ち上げているブログ“How To Blog For Fun&Profit!”の中で,“SMO”という聞き慣れない略語が踊りでていたので,読んでみた。


ここでのSMOは「ブログ・トラフィックを増やすには,SEOだけではなくて,SMO対策も必要だという主張」として提起されている。
こういうことらしい。

SEO vs. SMO
Keywords vs. Community
Content vs. Conversation
Content Consumers vs. Content Creators

SEOの狙いは,
SEO = How well you pull traffic from high ranking content
SMOの狙いは,
SMO = How well you pull traffic from high ranking reputation
である。
引用は同上


どうもこれだけだと何故マーケティングなのかがよくわからないし、"high ranking reputation"を実現するための手法も不明確である。
ここには、例えば、はてなブックマークで数多くブックマークされるとそのエントリーのトラフィックが伸び、そこでうまくRSS/Atomの登録が行われば、日々のトラフィックの平均値はその前後で高くなる、そして、その繰り返しにより、当然、トラフィックの平均値は向上する、といったごくごく基本的ともいえる具体的な手法が存在しない。まぁ、当たり前か。アメリカにはてブはないから。

このあたりは、id:kawasakiさんが丁寧にまとめてくれている。

SEOとSMO(ソーシャルマーケティングオプティマイゼーション)について
http://d.hatena.ne.jp/kawasaki/20050601/p4

SMOの「良い点」に関しては異論はない。
付け加えるなら、「良い点」の2段落目の「SBM(ソーシャルブックマーク)は~」の下りには、SBMのほかに"共有"が可能なRSSリーダーや、ブログ検索なども含めてもよいのではないかと思う。

(2)悪い点
RSSやサイト自動巡回ツールに放り込むのはユーザーによってかなり絞られたサイト群であり、新しい発見をすることができにくい。SBMはRSSやサイト自動巡回ツールよりは広い範囲を効率的に切り取って情報を見ることができるが、膨大な情報に対しての網としての検索エンジンの包括性にはかなわない。


ここで指摘されている悪い点が「セグメンテーションとノード間の隔たり」のエントリーでも使ったこんな図と関係してくるのではないかと思う。

network.jpg

つまり検索ロボットでなら、この程度のネットワークをクロール~インデックス化するのは可能だし、実際にはもっと巨大なネットワーク(一説には隔たり数:19)さえ、インデックス化できているわけだが、人間だとこのレベルのネットワークでさえ、隔たり数が大きなノード間では、効率的に切り取って情報を見ることがむずかしいということだろう。

さて、ここでSMOの根本的な問題を指摘しておこう。
簡潔に言えば、こうだ。

SMOはSEOの悪い部分を引きずってしまっている。
悪い部分とは、あたかも人に焦点を当てた最適化であるかのように振舞う部分だ。


SEOとは所詮、検索エンジンの表示順位アルゴリズムに対する最適化だ。
しかし、それは時に、検索エンジンはユーザーが必要な情報を探すためのツールであり、そのツールに対して上位表示させることはユーザーの利益につながる、といった語り口で語られることがある。
しかし、先にid:kawasakiさんが指摘しているとおり、検索エンジンは所詮、キーワードマッチングの域を超えておらず、真にユーザーが必要とするコンテンツ・マッチングには至っていない。そして、多くのSEOがどんな立派なユーザー志向を唱えたところで、それはキーワード検索時の上位表示を狙ったものでしかない。つまり、そこではユーザーの求めるコンテンツ・マッチングの意識はほとんど働いていない。

そして、このコンテンツ・マッチングの面からSEOの弱点を補おうというのが、SMOのコンセプトのベースになっているのだろう。
そいういう意味では、SMOも悪くはない。しかし、そんな手法でマーケティングROIを確実に挙げられるかといえば、運任せか、実行した人によるということなのだろう。

そして、繰り返すが、この考え方は一見ユーザー志向に見えて、実際にはユーザー志向には程遠い。

Web2.0といわれる時代に顕著なのは、情報量が日々べき乗側に従うようにものすごい速度で増加しているということだ。
つまり、ユーザーにとっては膨大な情報群からいかに効率的に自分の必要としている情報を見つけられるかという点が結構切実な問題となるはずだと思う。
そして、個々のユーザーは程度の違いはもちろんあっても、それぞれ個々にWeb2.的なツールを用いて効率化を図ろうとしている。
ブログ検索しかり、メタ検索しかり、未来検索しかり、SBM、共有型RSSリーダーしかりだ。

UEO(User Experience Optimization)が焦点をあてているのは、その名称とは裏腹にユーザーそのものではなく、ユーザーが利用しているそういったツール群である。
ようするに、そういったツール群を用いてユーザーが情報検索、購読を行う際の経験を最適化することを目指すものだ。つまりはそうしたツールにきちんと情報が掲載されることがまず1点。かつ掲載された際にユーザーが情報の取捨選択を効率的に行えるようHTMLのみならずRSS/Atomの情報設計もきちんと行っておくことがもう1点だ。

つまり、SEOの機械的な部分である検索エンジンに掲載されるよう最適化するといった側面を引き継ぐのがUEOだ。それゆえ、手法はSMOとあまり変わらない。ただ、SMOがコンテンツでどうにかしようとしているのに対し、UEOはコンテンツそのものはとりあえず置いておいて、ネットワーク上を情報が巡回しやすくするよう、現在の環境に存在するツールに対しての最適化を図ろうとする意味で異なっている。それはむしろアクセシビリティのコンセプトに近い。
その後に実際にユーザーが情報を利用するかどうかは、ユーザー自身におもねるしかない。そんなところまで踏み込むのは、いつの時代においても決してマーケティング的ではない。

UEO(User Experience Organization)ははじめからそこまでを限界としている。実際にはUEOを行ったうえで、本格的なコンテンツマッチングを行うことで、マーケティング効果を向上させることができるのだろう。
それには「セグメンテーションとノード間の隔たり」のエントリーでも指摘したような「セグメンテーションからノード間の隔たり係数の重視へ」といったマーケティング戦略の変更が必要となるだろう。
このあたりはまだ具体的なアイデアがないので、今後の課題としたい。



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