2006年02月12日

Web2.0とGoogleとセマンティックweb

RSSリーダーにもファッションセンスが必要」のエントリーは、はてなについて触れたせいか、このブログにはめずらしくたくさんのブックマークがついて、全体でも普段、見られないようなアクセス数があった。
おそらく、見ていただいた方それぞれでいろんなことを感じられたのでしょうけど、やっぱり、こういう1つのエントリーだけで上に書いたような普段起こらないことが起こってしまうはてなの力はすごいなとあらためて感じた。
はてなの人に感謝。そして、見てくださった方、ブックマークしててくれた人にも感謝。

さて、そのエントリーで、

Googleに対するもう1つの誤解は、Googleは決してWeb2.0企業じゃないという点だ。


なんて書いたが、今回はそれについて感じていることを補足しておこう。

まぁ、実際にはある企業がWeb2.0企業かどうかなんて定義があるわけじゃないので(あるとしたら、社名になってるかどうかくらい? 笑)、GoogleがWeb2.0企業ではないという場合、Web2.0企業をどう定義するとGoogleがそうではないといえるのかを明確にしないといけないだろう。
まず、そこからはじめてみよう。
(とこのあとは、しばらく退屈なのでお急ぎの方はここから読んでくれても大丈夫)

■Web2.0企業の定義
まったく独自で考えるのは「累積淘汰」の側面から非効率だと思うので、ここではティム・オライリーの「Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル」を参考にしながら、分類を行ってみよう(賛否両論はコメントなりトラックバックでなんなりと)。
分類の対称にするのは日本独自でもサービスを行っているところだ。選定は任意なのでご了承を。

1.Webサービス業であること

含まれるもの:はてな、Yahoo!、楽天市場、テクノラティ、feedpath(サイボウズ)、cybozu(サイボウズ)、CNETのようなニュースサイト、スラッシュドット、ドリコム、mixi、@コスメ(アイスタイル)、RSS広告社、ダブルクリック、トライコーン(アウトバーン)、Visinalist(デジタルフォレスト) etc.

含まれないもの:Web制作会社、gooリーダー、Adwords/Overtureなどの販売代理店、サーバーホスティング会社、サイトトラッカー(アスキー) etc.

※サービスと企業が混在しているのはご勘弁

2.ユーザーセルフサービスによるロングテールの取り込み

含まれるもの:はてな、Yahoo!、テクノラティ、feedpath(サイボウズ)、スラッシュドット、ドリコム、mixi、@コスメ(アイスタイル)、RSS広告社 etc.

含まれないもの:楽天市場、cybozu(サイボウズ)、CNETのようなニュースサイト、ダブルクリック、トライコーン(アウトバーン)、Visinalist(デジタルフォレスト) etc.


3.集合知の利用(独自性のあるデータベース)

含まれるもの:はてな、Yahoo!、テクノラティ、feedpath(サイボウズ)、スラッシュドット、mixi、@コスメ(アイスタイル)、RSS広告社 etc.

含まれないもの:ドリコム etc.


4.軽量なユーザーインターフェースと軽量な開発モデル(外部からは判別しづらい部分もあるので、XMLの含有率としておこう)

含まれるもの:はてな、テクノラティ、feedpath(サイボウズ)、RSS広告社 etc.

含まれないもの:Yahoo!、スラッシュドット、mixi、@コスメ(アイスタイル) etc.


5.単一デバイスの枠を超えたソフトウェア

含まれるもの:はてな

含まれないもの:テクノラティ、feedpath(サイボウズ)、RSS広告社 etc.


う〜む。なんかちょっと微妙なところではあるけど、現時点では、はてなだけか(しかも、勝手な解釈でそれぞれの企業の皆様、すみません)。
この答えが正しいかどうかは別として、とりあえずここでの目的は「僕がWeb2.0企業をどう定義しているか」なので問題はないだろう。

■GoogleがなぜWeb2.0企業ではないと思うのか
では、本題、僕がなぜGoogleがなぜWeb2.0企業ではないと思うのかだ。
上に挙げた多くの条件にGoogleがもっとも当てはまる企業ではないかと考える人が大部分だろう。僕もその点にはまったく依存はない。現時点でGoogleが上記の条件を最も満たした企業であると僕も考えている。

僕がGoogleがWeb2.0企業ではないのでは?って感じるのは、こんな記事を読んだりするときだ。

インターネット検索の最大手の米グーグル社が、個人が離れた場所で利用する複数のパソコンのあいだで文書などを検索できるようにする新ツールの提供を始める。だが、その便利さを享受するには、グーグル社に対して、検索可能なファイルを最大30日間、同社のサーバーに保存する許可を与えなければならない。
 


このGoogleの新機能に関しては、記事中にもあるとおりプライバシーやセキュリティを巡る議論がGMailがリリースされたときと同様にアメリカでは白熱しそうだが、ここではそれに関しては深くは問わないことにする。
日本のトータル・セキュリティ・サービスを提供する会社でさえ、自社に情報を置いておくよりもセキュティのプロフェッショナルがきちんと管理できるよう、こちらではなくあちらに情報を置いておいたほうが安全だというくらいだから、それを受け入れれば、より優れたテクノロジーを持っているGoogleならさらに安全かもしれないという議論は成り立つだろうからだ。

そんなことより、僕が強く感じるのは「Webじゃねーじゃん!」ってことだ。

このGoogle Desktop 3.0やGmailに限らず、Google Book SearchVideo Storeにしても、もはやGoogleが視野に入れているのは、Webに上がったものだけじゃない。むしろ、形式知に関する完全なネットワークを構築するために、あらゆるものをインターネット上に強引ともいえるやり方で置いているだけだ。

ユーザーとのインターフェイスとしてWebを使っているにしても、これを「Webサービス業」というのではGoogleのやっていることを捉えきれていない気がする。
だから、僕はGoogleがなぜWeb2.0企業ではないと思うのだ。

■Googleとセマンティックweb
セマンティックwebという考え方というか、試みが進められている。
情報の選択や収集を効率化するために、情報の内容に応じてタイトルや要約、作成日などのメタデータを付与するためのデータ表現モデルを標準化していきましょうというような動きだ。詳しくは説明できないので、 興味のある方はこちら(The Web KANZAKI.)を参照してほしい。

先日、参加させていただいたWeb Business Shuffle 2.0でfeedpathの小川さんもWeb2.0の先にあるものとして、セマンティックwebを捉えているような話をされていた。
方向性としては似ていてもうすこし規模を縮小したものに、microfomatsなどもある。
Web2.0がこの先、セマンティックwebに近づいていくというのは確かにそうなんだろうなという気がする。

こうした動きも基本的には情報の検索性の向上や知のネットワークの強化を目指す上で、確かにGoogleが目指している方向性と共通性を持っているようにみえる。
でも、僕にはそのやり方が180°異なっているように見えるのだ。

セマンティックwebの考え方は仕様を標準化することでそれを目指す。
でも、Googleはそんな標準化に頼らず、同じことを強引に(というのは、単に外から見ると強引に見えるだけで、Google内ではすこしもそうではないのだろう)実現しようとしている。

これは「絶滅するのは、どの階層か?」というエントリーで書いたことに非常に関係しているように思う。

つまり、
・Googleはすでにある程度、リアルの世界で実質的に標準化(例えば、現に使われている言葉の使用法やネットワーク化=構造化 etc.)されたルールを自分たちの解析技術で可視化してロジックとして利用する。
対して、
・セマンティックwebのやり方は、あくまで現実の世界の上にもう1つ標準化されたルールを作りましょうというものだ。
これは明らかに階層が最低でも1つ違っている。
先のエントリーで書いた強度の違いという面では、Googleのやり方に優位性があるといえるのではないだろうか。

ヴィトゲンシュタインは、『論理哲学論考』で「世界は事実の全体であり、物の全体でない」といったが、Googleはまさにこの考え方に基づいているように見える。
一方のセマンティックwebは、いわゆるオブジェクト指向だ。
ある意味、これはゲーデル vs. ヴィトゲンシュタインだ。
(参考:「メタとは何か? 自己言及の世界の危険と不思議そして語ることの重要性」哲学するIT ITする哲学

まぁ、どちらかが勝つかはよくわからない。
でも、それが180°異なる(つまり、ある意味では相容れない)志向性をもったものであることだけは確かだろう。
この点でもGoogleはぜんぜんWeb2.0企業ではないんだろうなという気がするのだ。



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posted by HIROKI tanahashi at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | Google | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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