「絶滅するのは、どの階層か?」のエントリーでなんとなく触れてみたけど、あらゆるモデルで下層はある程度、標準化(実際に使われているという意味でだ)されていないと、その上層が多様なデザイン(設計)を行うことはむずかしい。
さっきのエントリー「RSSリーダーにもファッションセンスが必要」で書いたiPodとLISMOの通信機能といった点が1つの肝であるわけだし、はてなとfeedpathのデザインの問題だって、この時点で単にどっちのセンスがいいなんて議論は実はあまり意味がない。
自然淘汰という結果から見た優劣が重要なケースでは、デザインの良し悪しで生き残るか/破滅するかっていうこともいえるんだろうけど、現時点でそのアナロジーを使うのは乱暴すぎて生産性がない。
下層の標準化が上層のデザインの多様性に関係しているというとき、参考になるのは、Jesse James Garrettの5 Planes Modelではないかと思う。
Jesse James Garrettの5 Planes Modelについて詳しくは『ウェブ戦略としての「ユーザーエクスペリエンス」―5つの段階で考えるユーザー中心デザイン』を参照してほしい。
ここでは、単にそれが最下層からStarategy(戦略)、Scope(要件)、Structure(構造)、Skelton(骨格)、Surface(表面)の5つの層からなるモデルであることだけを紹介しておく。
5 Planes Modelは何のためのモデル化といえば、ユーザーエクスペリエンスの向上を目指すWebサイト構築のためのモデルだ。
僕は、このモデルのいう「ユーザーエクスペリエンス」の範囲に大きな疑問を持つのだけど、それは後回しにしよう。
とにかく、ここで書かれていることは、何のためにWebが設計される必要があり、そのためには何が必要かが決まらないと、ユーザーエクスペリエンスに優れたWebサイトの構築はままならないということだ。
これは正しいし、必要条件としては十分だと思う。
でも、「アウトプット要求」と「サービス要求」という考えがある。
例えば、東京からシアトル経由でニューヨークに飛行機で出国したと仮定した場合、顧客のアウトプット要求は、ニューヨークに無事に到着することになるが、この時、出国手続きで1時間も待たされたり、乗り継ぎ便が定刻より大幅に遅れシアトルで10時間も待たされたりすると、アウトプット要求は満たされていてもサービス要求は満たされていないということになる。
この本のユーザーエクスペリエンスが視野に入れているのは、「アウトプット要求」一部の「サービス要求」だという気がする。
つまり、ここに書かれているのは極論すればユーザーエクスペリエンスを満たすための必要条件であって、十分条件ではない。
それが明記されていないのが、この本の残念なところだ。
(これが極論なのは、実際に本を読んでいただければわかる。いまここで書いていることを無視すれば、この本で示唆されていることはすばらしいのだから)
では、どんな十分条件がこの本で不足しているかといえば、先のエントリーのファッションの問題がそうだし、そのWebが実際に運用されていく(つまり、情報が常に増えていく)ことがどれだけユーザーエクスペリエンスに関係しているのかということが無視されている点だ。
生物はどんなに優れていても行動しなければ死ぬだろうし、素敵な異性と配偶して子孫を残さなければ種として滅亡する危険性がある。
なんかこの本でも(というのも、つまりさっきのエントリーともつながるのだが)そういう「生きる」とか「サバイバルする」っていうあたりのアイデアが弱い気がする。
僕らは決して無性生殖ができるわけではないのに、どうも男性的な閉じた議論に終始してしまうのは、ヤになるなぁって感じがいつもしている。
別に僕はフェミニストでもなんでもないし、女性にへんな媚を売るつもりはないけど、かといって、女性を巻き込まないような男性的なネットワークにおける閉じた議論(お〜ぉ、これってWeb2.0的じゃないか、囲い込みかオープンか?)っていうのは、どうも生理的に嫌悪感があるみたいだ。
どうも話題がズレてきたようだが、確かに「下層が標準化されると上層のデザインは多様性を実現できるようになる」というのは事実で、それにはJesse James Garrettの5 Planes Modelのような階層化された思考は絶対に必要だと思う。
標準化された下層のフォーマットに則り、上層のデザイン(設計)を行う形の累積淘汰がなければ進化は途方もない時間を必要とするはずだ。
しかし、それを何故、実現する必要があるのか?って議論がそこでは抜け落ちているか、ちょっと男性的でセンスのない理屈に落ち込んでしまう傾向があるように思う。
つまり、最下層に「戦略」はあっても、どうも本来、環境適応であるはずの「戦略」が自分たちのいる環境の定義を誤っている気がするのだ。
繰り返すが、僕らの住む環境は無性生殖の生物のそれとは同じではない。
(かといって、クジャクみたいになれというわけではない)
こういうことって、せっかく努力しているのを無駄にしてるようでもったいないと思うのだ。
ん〜、なんかまとまらないエントリーだな(というか、ほんとど無茶苦茶か)。
結論としては、モテる男になろうということにしとこうか。
参考となる本はこちら。
きっと、この本を見れば「下層が標準化されると上層のデザインは多様性を実現できるようになる」ということが理解しやすくなる(はずだ)。
デザイン | Web
2006年02月11日
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