2009年10月27日

売れ続けるしくみとしてのブランド

売れるものを作るか。売れ続けるもの、あるいは、そのしくみを作るか。
これは似ているようで、違う考えによってプランを組み立てる必要があることです。

単に瞬間的に売ることが必要なのであれば、キャンペーンを行ったり、価格を下げたり、話題性のあるものでとりあえず試しに買ってもらったり、まだ買ったことがない人に向けた商品をわかりやすい販促手段で買ってもらったりすることで、一時的に売り上げを伸ばすことはできるはずです(もちろん、それにはそれなりのプランが必要ですが)。

ただ、そうやって買ってもらったものがその後も買ってもらえるかというと、ほとんどの場合、あやしいでしょう。買った理由が価格の安さやキャンペーンだったりすれば、それはものを評価して買っているわけではないのでリピートにはつながりにくいでしょう。話題性だけの商品なら買ったあとにがくんと評価は下がって逆に二度と買わないと思うかもしれません。まだ買ったことがない人向けの商品であれば、その人が次に買うときは「すでに買ったことがある人」になるわけですから、その商品を買う理由はなくなります。

そういった面で、売れるしくみを作ることと、売れ続けるしくみを作ることには違う面が多々あります。売れ続ける仕組みとしてのブランド・マネジメントを考えるなら、従来の売れる仕組みとしてのマーケティングとはまた違った視点での発想が必要になるはずです。

価値がわかる人に喜んで買ってもらう

まず、ひとつには、価値がわからない人に無理やり売るのではなく、価値がわかる人に喜んで買ってもらえるようになることがブランドをつくる上では大事な戦略だと思います。
必要な人に必要よりちょっと上の価値を届けるのです。必要かどうかも自分で認識していない人に無理やりなトークで説得してとにかく買ってもらうのとはわけが違うのです。もちろん、それはわかる人にだけわかればいいということではなく、わからない人にもわかってもらえるようにする努力は常に必要なのですが、それで本当にわかる人にとっての価値を損ねるようなことはしてはいけないということです。

価値のわかる人に喜んでもらい、その喜びをまわりの人にも伝えたくなるようにするしくみ・環境をつくりあげていくことこそがブランド戦略の核になくてはいけません。そのためにはファンが他の人たちに伝えたくなることを、ブランドが提供する商品・サービスそのものによってだけでなく、さまざまなメディアを使ったブランドコミュニケーションによっても提供していくことが必要になります。

人はコミュニケーションする生き物です。もちろん、誰もが誰にでも話をしたがるわけではないですが、誰とも話したくない人というのもマレでしょう。特に自分が感動したり、嬉しかったりしたことは他人に話したくなるのではないでしょうか。そこでブランドは人が喜ぶ価値を提供するだけでなく、その価値を他の人に話す際の話題もいっしょに提供することで、ファンによる口コミを発生しやすくすることが求められます。Webであれば、ブログなどで記事を書きやすくなるよう、引用しやすいメッセージや動画などの提供をすることで、ファンが喜びを表現しやすくなるはずです。

ブランドプロミスを裏切らないための組織のしくみ

ただし、その口コミの内容がバラけて、ブランドのメッセージがぼやけてしまってはいけません。そうならないためにも、ブランドがどんな価値をもつのかは事前に明確にしっかりと設計しておく必要があります。自分たちのブランドがもつ資産と市場のニーズ・ウォンツをマッチングさせた上で、ブランドの核となるコンセプトを固め、その価値を伝えていく商品戦略やコミュニケーション戦略に落とし込んでいくのです。どんな価値をファンとなる人たちに提供するのかをきちんとブランドプロミスとして、その人たちに約束し、それを認識してもらうのです。

当然、そこで提供すると宣言したブランドプロミスはファンを裏切ってはいけません。そのためには実現可能な価値をきちんと吟味した上でコミュニケーションに、そして、商品・サービスに落とし込んでいく必要があります。そのためにも自分たちの資産をきちんと棚卸した上でブランドコンセプトを設計するのです。

また、ブランドは常にファンを驚かせ、新鮮に感じてもらわなくてはなりません。そのためにはブランドは常に成長する必要があります。当然、ブランドをつくる組織のスタッフは常に学習を怠らず、価値提供に必要なスキルや感性を研いておかなくては、継続的に新しい価値を提供していくことはできないでしょう。組織の経営者はスタッフが価値提供のための学習やスキルアップに打ち込める文化、しくみを提供することができなくてはいけません。また、ブランド価値の持続的な維持に必要な新しい採用希望者が応募してくれるよう、組織としての魅力も保つことも同時に考える必要もあります。

さらには、ブランドを取り巻く環境は自分たち自身の活動によっても、外部的な要因によっても常に変化します。その変化に対して自分たちのコアとなるブランドプロミスを維持ししつつ、変化に応じたブランドの革新も同時に行えるようにするため、外部とのコミュニケーションとそれに対する迅速なフィードバックが行えるようクローズドループシステムももつ必要があるでしょう。

ブランド・マネジメントができない理由

こうやって書くと一見むずかしいことのように思えますが、ちゃんと自分たちが誰のために仕事をしているのかをいつもしっかり見つめて、それを見失わなければ、本当はそんなにむずかしいことではないはずです。それができないのは、自分たちが誰のどんなことのために働いているのかを見失っているからではないかと思うんですよね。

もうひとつの理由としては、ここで書いたようなちょっと複雑なしくみ=システムを設計する力がないというのもあるでしょうね。設計する力がないというか、それをイメージして考えるためのスキルをもっていないというか。このあたりは情報アーキテクチャの設計を学んでおくと役だつんですけどね。

もちろん、それ以前にブランディングをやる気がないというのもありますが、それはここでは論外でしょう。

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ラベル:ブランド
posted by HIROKI tanahashi at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | ブランディング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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