まず、著作権法の第三十二条はこういうものだ。
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
これがまさに『FREE CULTURE』でローレンス・レッシグが問題にしていたもの1つ、フェアユースの問題だ。ようするに「正当な範囲」が非常にあいまいであるため、問題(例えば、著作権保持者が「正当な範囲」でないと主張して、あとから膨大な金額を請求される等)となりうる。
また、それを明確にしようとすれば、誰が著作権を保持しているのかを明確にする作業からはじめる必要があるので、弁護士費用などをはじめ、莫大なコストがかかるため、そうした費用が払える人(法人)以外のクリエイターはあきらめるしかないという意味で、著作権法の存在が創造性を規制してしまうことになってしまう。これに関して、レッシグは「アメリカにおけるフェアユースは、創造する権利を守るのに弁護士を雇う権利があるというだけの話だ」と書いている。(『FREE CULTURE』P223)。
日本では、判例としてどのように扱われているのかは勉強不足でわからないが、必ずしも「引用」が絶対に大丈夫ということではない気がする。特に、著作権にうるさい大手メディアを相手にする場合などはそうだろう。
そんな中、日本でもこうした問題をきちんと捉えた動きが始まっているという情報を得た。
日本経団連は27日、映画やテレビ番組、音楽、写真といったコンテンツ(情報内容)の著作権などの権利関係者をインターネットで検索できる「コンテンツ・ポータル(玄関)サイト」を開設する方針を明らかにした。
上記の記事によれば、日本経団連が2006年度中の稼働を目指して開設するサイトは、「テレビ番組のネットでの2次利用などが進まない背景には、原作者や脚本家、出演者、音楽などの権利関係者が分かりにくく、許諾交渉すら行えない現状があるため、情報を集約して、提供すること」を目的にしているということだ。
これは、先に書いたように誰が著作権保持者かわからないため、権利関係の確認も困難で多大なコストがかかるため、既存のコンテンツをうかつにできないというクリエイターのジレンマを解消するのに役立ってくれそうだ。まさにこれは日本におけるクリエイティブ・コモンズのような役割を果たしてくれることになるのだろう。
ぜひとも、日本の文化の創造性と各クリエイターの支援のバランスを保つものとして機能してくれればと思う。
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