2009-7-20:「型絵染の骨格 芹沢銈介の型紙」展

今日は静岡まで遠征して、静岡市立芹沢銈介美術館で行われている「型絵染の骨格 芹沢銈介の型紙」展をみてきました。



「型絵染の骨格 芹沢銈介の型紙」展
会場:静岡市立芹沢銈介美術館
会期:2009年6月6日(土)~8月30日(日)
HP:http://www.seribi.jp/sub5.html

型紙:型絵染の骨格

芹沢銈介さんについては、前に「芹沢銈介の文字絵・讃/杉浦康平」でも紹介しています。
その本でも芹沢さんの作品はみていますし、それとは別に芹沢銈介作品集も持っていますが、やっぱり実物は違いますね。印刷では表現できない、あたたかみのある紙や布にのった色の存在感が感じられて、よかったです。



今回の展示は、型絵染の人間国宝であった芹沢銈介さんの、型絵染(紙に染めたもの)や型染(布に染めたもの)の作品の文字通り型として使われた型紙とともに、それを用いて制作された作品を展示するというものでした。

紙に染める型絵染にしろ、布に染める型染にしろ、型紙は作品の骨格となるものです。
芹沢さん自身も「型紙は型染の骨格で、続く諸工程が如何あろうと、結果は一にこれにかかる」と記しているそうです。

型紙というのは紙や布を染める際に、染めたくない部分をマスキングする役割を果たすものですから、いわば作品のネガになるものです。作品においては地になる部分が型紙では黒くクローズアップされることになります。上のパンフレットの写真に載っている黒い紋様が型紙です。

絵と型絵染

ただ、型紙は型絵の骨格ですが、染めない地の部分の形を明らかにするものであるとはいえ、実際の図の部分は普通に絵を描くように着色されます。一瞬、では、なぜ絵で描くことをせず、型を使うのだろうとか思ったりもしましたが、普通に絵を描くのとは違う独特の雰囲気が型絵染や型染にはあります。

絵ほどの自由度はありませんが、印刷やコピーのように寸分違わない複製ができるわけでもない。その中間の複製でありつつ、ひとつひとつがオリジナルであるような版画などにも似たオリジナルの型を感じさせる個々の形がある。それが型絵染や型染の魅力だなと思いました。

記念に芹沢さんの代表作である「風の字文のれん」を買ってきました(もちろん複製品です)。



昨日の「2009-7-19:型絵染の団扇」で紹介した備後屋で買った型絵染の団扇とあわせて、我が家もだいぶ夏らしい室礼が整ってきたようです。

芹沢銈介の家

日曜日は特別に、芹沢銈介さんが生前に住んだ家を公開しています。



先日、京都に行ったときに立ち寄った、おなじ民藝運動の作家だった河井寛次郎さんの住居だった、河井寛次郎記念館よりも、もっと自然な感じですが、やはり作家の家という印象を受けました。

もともと芹沢さんが住んでいた当時は、東京の大田区に建っていた家で、それをここ静岡に移築したそうです。しかも、芹沢さん自身もこの家に住む際に宮城県の農家の建物を東京に移築したそうで、つまり、この家は宮城~東京~静岡と変遷してきているわけです。

そんな風に、家も人から人へ譲渡されて、その度に用途を変えながらも長く使われるというのはよいなと思います。

登呂遺跡公園

ところで、今日行った静岡市立芹沢銈介美術館は、登呂遺跡公園の敷地内にあります。ですので、登呂遺跡もついでに見てきました。



ただ、あいにく登呂遺跡は現在工事中。一部工事が終わったところのみの公開です。
なので、復元された住居も写真のように新品同然。芹沢さんの家よりこっちの家のほうが新しいわけです。なんか変な感じでした。

今日の夕食

と、そんな静岡遠征を終えての今日の夕食はこちら。



疲れていたからかもしれませんが、焼きナスと茗荷の味噌汁のナスの甘さが一段とおいしく感じられました。



関連エントリー

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック