集める、並べる、組み立てる

デザイン思考に関する5つの気づき」でも書きましたが、自分の思いこみや既知から離れ、いかに自分の外、未知の世界を想像できるかということが大事になるデザイン思考では、要領よく要点をつかめてしまう(わかったつもりになる)ことより、目の前の事実・事実データにとことん向かい合い、さまざまな角度から事実・現象を検討しながら、事実の背後にあるダイナミックな動向を地道に根気よく探り、発見する。そういう活動ができる人のほうがデザイン思考の仕事術には向いていると思います。

集める、並べる、組み立てる

昨日は、東京都市大学・清水先生の講義「メディアと表現」のゲスト講師としてお話をさせていただきました。

そのなかでも、デザイン思考で仕事を進めるうえでは「集める、並べる、組み立てる」という活動を重視し、わかったつもりにならず、答えはないということを前提に、デザインを組み立てることが大事だと話しました。

旅の計画とデザインプロセスは似ているね、という話から、共通する「集める、並べる、組み立てる」というよそを抽出したんです。

旅の計画とデザインプロセスは似ている


アナロジー思考

「集める、並べる、組み立てる」という要素が重要ですねということに関しては、『ひらめきを計画的に生み出す デザイン思考の仕事術』で、以下のように書いていることに近い。

デザイン思考という包括的な視点が必要となる作業には、物事を細かく分けていくことで理解を高める分析的思考と同時に、異なる者同士をつなぎとめながら類推を働かせるアナロジー思考が必要になります。
簡単にいえば、アナロジー思考をする際には、おおよそ、こんなことが起こっていると考えてもらえればいいと思います。

と書いたうえで、「おおよそ、こんなことが起こっている」と思われるアナロジー思考のプロセスとして、
  • 蒐集する
  • モデル化する
  • 編み上げる

の3つをあげています。

今回はこれをやさしいことばで言い換え、
  • 集める
  • 並べる
  • 組み立てる

といったわけですが、なんでもデジタルに分割し要約して考えるのではなく、物事のゆるいつながりに着目しながら、そのあいまいさを受け入れつつ、はじめから答えがあると想定するのではなく、答えは自分たちで組み立てるのだと思って、作業にあたることが大事なことだと思うのです。

「らしさ」を集める

そのことを体感してもらうために、
  • 本の特徴(らしさ)
  • Webの特徴(らしさ)

をそれぞれ3つずつポストイットに書き出すという課題をやってもらいました。

結果はこんな感じ(写真は「本の特徴」)。

20090708.jpg


本に関しても、Webに関しても、とうぜん、いろんな「らしさ」があがってきました。
本やWebの「らしさ」ひとつとっても、これだけいろんな見方があり、人によって異なる。
本やWebをデザインする際には、とうぜん、その「らしさ」を表現しないといけない。らしくなければ、違和感を感じるでしょうから。

そうした人によっていろいろと異なる「らしさ」を感じているものを、ちゃんと把握してデザインする際に表現できているか? そういうことを感じるために、まず「らしさ」を集めるという体験をしてもらったのです。

もちろん、こうして「らしさ」を集めたあとは、それを並べて比較し検討し、適切な要素を抜き出し組み立てるという作業をしていくわけです。
さて、みなさん、普段、こういう観点で仕事をしているでしょうか?

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