河井寛次郎さんは、柳宗悦らの日本民藝運動にも関わった陶工です。

河井寛次郎は、その生涯を通じいつも子供のように勘当する心を失わず、ありとあらゆる物と事の中から喜びを見いだし、そして何よりも人と人生をこよなく愛し大切にした人でありました。河井寛次郎記念館パンフレットより
記念館の場所は東京人の感覚だと清水寺の近く。
元は自宅兼仕事場だったこともあり、裏の路地をはいったところにひっそりとありました。

作家の生きる空間
大した予備知識もなく、それゆえ、そんなに期待せずに訪れたのですが、行ってみて、すっかりやられてしまいました。良いとか悪いとかを判断する以前の問題で、とにかく圧倒されたんです。

家のなかには、河井寛次郎さん自身がデザインしたり、製作したりした家具が多くの民藝家具に混ざって置かれていました。家具だけでなく、謎の像もあちらこちらに存在していました。

その雰囲気は、先日再訪した白洲次郎・正子夫妻が生前暮らした旧白洲邸武相荘とも、おなじ民藝運動の仲間であったいまは日本民藝館西館となっている旧柳宗悦邸の雰囲気ともまったく違いました。
白洲邸や柳邸のような洗練された印象はなく、もっと雑多でパワーを感じさせる空間でした。これぞ!情報!!という印象です。あのくらいの圧倒的なパワーをもって迫ってくるくらいじゃないと情報過多なんていわないんじゃないかと思いました。
決して洗練などされずに、コントロールされないパワーが蠢いている印象です。そのあたりはやはり作家であったことが大きいのかなと感じました。
庭の奥に登り窯
何より驚いたのは、庭の奥に登り窯があったことです。
陶工の仕事場なんですから、あって当たり前なのでしょうけど、実際にそれを京都の町屋風の建物の奥に目にした印象は鮮烈なものでした。
それを目にして、あー、清水寺の付近が陶器の町であったことをあらためて納得させられたくらいです。おそらく昔はこのあたりには多くの窯があったのでしょう(いまでもすこしはあるのかな?)
ちなみに庭はこんな感じ。

またひとつ京都でお気に入りの場所が増えた感じです。
京都にお住まいの方で、行ったことのない人はぜひ行ってみてください。

河井寛次郎記念館
京都市東山区五条坂鐘鋳町569
月曜休館(祝日は開館、翌日休館)
10:00~17:00(入館受付16:30まで)
http://hcn.plala.or.jp/fc211/sagi/
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谷 健司