途中停車駅がすくないから。ですよね。
では、なぜ途中停車駅がすくないのか?
それは早く進むために、そう決めたから。ですよね。
じゃあ、なぜ君たちの仕事は遅いのか?
各駅停車の仕事
仕事が遅々として進まない。それなりに能力がある人が集まっていても、そういうことはよくあります。それって、まさに各駅停車状態になってるからじゃないでしょうか?
すこし進んだと思ったら停車して、計画を見直したり、やり方を調整したり。途中で誰かが「これって何だっけ?」と質問してくるのに答えたら、別の人が「えっ、それってこうだと思ってた」なんてことになって、1から認識あわせをしなおすことになったり。
結局、一直線にゴールに向かってひた走れれば、それほど時間がかかるわけでもないはずなのに、各駅停車で度々スピードを緩め、立ち止り、あれこれ調整や確認やらの必要があるために、一向に仕事が進まなくなってしまう。もちろん、停車したり発車したりは走り続けるよりエネルギーの消費も激しいので、その点でもだんだん速度そのものも出なくなるのではないでしょうか?
特急列車の仕事
ですので仕事を早く進めるコツというのは、途中で速度を緩めずにすむよう、あらかじめ途中で止まらないための計画をしっかりしておくことだと思います。途中下車したい人は乗せなくて済ませるために、最初に認識合わせに時間をかけたり、議論すべきことはしっかり最初の時点で議論しておくのです。最初の計画の時点で、どこで停車するのかということとそれ以外は停車せずに進むということが可能になるよう、計画を立てるのです。途中で止まらないのだから、とうぜん、途中で問題が発生しないよう最初の時点で問題をつぶしておくか、次の停車駅まで問題を保留できるように計画を立てておく。
仕事が進まないのは計画の段階でそういう時間をかけずに、あいまいな状態のまま、発車してしまうからです。とりあえず進めてみて出なりで問題をつぶしていけばいいとか考えていたら、それは各駅停車でしか物事は進まなくなります。
仕事が遅いのは、そういう先のことを想像して、仕事を組み立てるということができないからでしょう。先々のことを想定したうえでの段取りの能力が低いんですよね。
仕事が遅いのはデザインの問題です。
結局、特急列車は速いのではなく早いんですよね。いくら速度が速くても、仕事は早くは進まないのです。
各駅停車ならまだしも、問題があるたびに駅もないところで止まっていてはそりゃ仕事が進まないのは当然です。
もちろん、プロジェクトを推進するなかではさまざまな問題が生じます。問題への対応のため、計画を一部変更しなくてはいけない場面もあるでしょう。とはいえ、途中で生じた問題に対応するため計画を変更することと、計画なしにはじめてその場その場で場当たり的な対応を行っていくのとでは意味が違います。臨機応変はあくまで事前の計画があった上で状況に応じた適切な対応をすることをいいます。事前の計画がなければ、臨機応変ではなく行き当たりばったりです。拙著『デザイン思考の仕事術』より
仕事をスムーズに進めたければ、立ち上げの段階で、いかにゴールへの道のりをイメージできるかということがポイントになるでしょうし、イメージできないところは未知の物に遭遇した時、どういう対応を心掛けるかをどれだけ徹底できるかじゃないかと思います。そのうえでリスト化したタスク(本筋のタスクと管理・コミュニケーションのタスク)を組み立てて計画をつくる。そのタスク要素のリスト化とその組み立てがなければ、停車駅と通過駅の区別がつかず特急列車にはなりません(「プロジェクトをデザインする」参照)。
それが仕事のデザインです。仕事が遅いのはオペレーションが悪かったりスキルが足りなかったりということよりは、デザインがダメか、そもそもデザインされていないかというケースのほうが多いと思います。
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