2009年03月18日

業務プロセスと人材教育に視点をおいた企業戦略の見直し

昨日の「マーケティング、マネジメントを組み立てなおす」に引き続き、企業戦略の見直しと、そのためのツールとしての戦略マップ、バランスト・スコアカードの利用について書いてみようと思う。

今日は特に、企業における価値生産のための方法、プロセス、そして、そのための人材育成というところにフォーカスして。

CSF:主要成功要因

バランスト・スコアカードの基本的な考え方は、ビジネス戦略上の目標である重要目標達成指標(KGI=key goal indicator)を達成するために、「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習・成長の視点」の4つの視点それぞれに対して下図のように主要成功要因(CSF=critical success factors)を設定し、各CSFの関係性を定義しておく。
これを戦略マップと呼び、このツールは戦略全体の可視化のために用いられる。

戦略マップ


例えば「顧客の視点」に「顧客に対する納品までのリードタイムを30%削減する」というCSFを定めたら、そのために必要な「業務プロセスの視点」でのCSFとして「出荷の承認プロセスを簡略化する」だとか「部品数を20%削減する」などを設定する。
もちろん、その「業務プロセスの視点」のCSFを実現するために必要な「学習・成長の視点」でのCSFも検討し設定する。

この4つの視点での各CSFを抽出するためには、昨日書いたようにシックスシグマのロードマップを使うのがよいが、より現場レベルでの作業でいえば「W型問題解決モデル」で書いたように、ブレインストーミング的な方法を用いた内部探索〜KJ法といった手順を用いて、4つの視点それぞれにおける問題の構造を明らかにした上で、戦略的に改善が必要な要素を定義しCSFとして設定するのがよいだろうと思う。

KPI:重要業績評価指標

このCSFそれぞれに対して、測定可能な重要業績評価指標(KPI=key performance indicator)を設定し、定期的に測定を行うことで戦略の達成度合いを管理できるようにする。
それによって、戦略目標であるKGIを達成するためにボトルネックになっているCSFは何か、あるいは各CSFがそれぞれ目標に達しているにも関わらずKGIが達成できていないのであれば、戦略それ自体の見直しが必要であるという判断も可能になる。

バランストスコアカード


バランスト・スコアカードの4つの視点は上の図のように、過去―将来、内部―外部の軸で分けられ「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習・成長の視点」がそれぞれ対応する形となっている。

過去の「財務の視点」のパフォーマンスをみて、それを改善したければ外部である「顧客の視点」での改善が必要だし、顧客接点での改善を行おうとすれば当然内部の「業務プロセスの視点」での改善が必要になる。そのためにも将来を見据えた従業員個々人の学習、企業組織そのものの成長をいかに行うかという「学習・成長の視点」での改善がなくてはならない。

方法とプロセスと人材

従来のマーケティングは基本的に「顧客の視点」での改善を行うことで「財務の視点」における成果をあげようと考える。しかし、上で見たようにそのためには本来「業務プロセスの視点」「学習・成長の視点」での改善がそれに同期し、回っていかないとマーケティング戦略は絵に描いた餅で終わることが多い。

いまの不況で企業の予算が限られるなか、重要なのはこの「業務プロセスの視点」における方法やプロセス面での見直しと「学習・成長の視点」での人材育成・企業の成長をどう戦略化しマネジメントしていくかではないかと思っている。もちろん、それは組織内部だけの話ではなく、他企業とのコラボレーションなども含めて自社で不足したリソースの補充をどう行っていくかということも含めて。

企業組織内において、方法・プロセス・人材といったところの戦略の組み立てがいかにうまく組み立てられ、また、それを「顧客の視点」「財務の視点」での目標につなげていくかという戦略的組み立てが、いま何よりも必要とされているのではないだろうか。

そのための教育をどう組み立て、実施するか。
自社の価値生産の方法・プロセスをいかに標準化して社内に浸透させることができるか。

もちろん、それにはいまの時代を、これからの市場をどう読み、そこに自社をどのような形でポジショニングしていくかという視点が必要だろう。

また、この教育というのが「テキスト情報過多の時代に人は何を感じるか」で書いたとおりむずかしい面もあり、単なる座学やツールの使い方などに偏ってしまうと、教育コストをかけただけで効果が少ないということもある。どのような教育のしくみを導入するかも企業にとっては悩みの種ではないだろうか。

ここはじっくり腰を据えて自社の戦略を描いてみる必要があるはずだ。
既存の枠組みや過去の成功体験に縛られず、これからの戦略を見出せた企業がいまは苦しくても将来的な活路を見いだすことができるのだと思う。

  


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posted by HIROKI tanahashi at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 企業と事業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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