アテンションエコノミー下のネット広告

テレビなどの既存メディアとネットの融合的な話題には、どうも疎いんだけど、そんな中、面白いブログ記事を見つけたので、ちょっとご紹介がてら考えてみようと思っている。

 テレビ業界の今後を考える場合の「核心」とは何だろう。それは広告だ。氏家氏もその発言の中で「広告売り上げは成長から安定に入ったが、経済成長率と同じ程度は成長していく」と見通しを語っている。まあ、映像広告という点で見ればその通りかもしれない。だが、問題はそのパイの分配の構図だ。
R30::マーケティング社会時評: 新年のごあいさつとメディア業界についての予感

インターネット広告費がラジオ広告を上回って、ようやく電通あたりもネット広告に本腰を入れようというのか、こんな動きが目立つ。
電通とオプト、ネットマーケティング全般で業務・資本提携 - CNET Japan
電通と民放5社、ネット映像配信会社の設立を検討--無料放送も予定 - CNET Japan
電通とリクルートがネットマーケティング企業と資本・業務提携 - ITmedia

ネットの側にいる僕らからすると今更な感じもしなくもないが、電通あたりが本腰を入れてくるくらいには市場の規模も無視できない程度になってきたということだろう。
(まぁ、そんなことはGoogleの株価の評価を見ても今更な感じではあるのだけれど)

 インターネットが普及した結果、一介の個人や事業会社にとっても適切な戦略さえ立てれば「メディア」的になることは簡単にできるようになっている。つまり、広告でもテレビでも雑誌でも、「メディア」業にかかわったことのある人材がその能力を生かせる可能性の領域というのは、飛躍的に広がっているのだ。

おっしゃるとおりでスラッシュドットなんて、まさにいい例だ。「今のネットには個人や組織の著作者名がついていない、「どこの誰かも分からない」人の作ったテキストコンテンツが大量に氾濫している」と記事中にあるが、これが前々から指摘しているアテンション・エコノミーなるもの。そして、そのどこの誰かも分からない」人の作った記事にも広告がついているのは、ネットをよく使う人なら当たり前の事実にもなっている。

 逆に言えば、これまで多くの事業会社にとって「こんな良い製品、良いサービスがあるのに、まだ見ぬ顧客へのコミュニケーションの手段が『既存のマスメディアに露出すること』しかないので、その価値を届けられない」という事業戦略上のボトルネックはどんどん緩くなっていると言える。そのことを直感した経営者と、メディアビジネスを経験したことのある人材とが出会えば、すごくハッピーなことが起こると思うのだけどな。

これもすでにSEO/SEMの世界では当たり前になっていて、そこに「Google様かどこぞのベンチャー企業が、他人の作った映像の内容をセマンティックに解析してその間に適切なCMを挟む技術を開発しているだろうから、映像広告の市場のテレビと広告代理店による独占が破れるのも、これまた時間の問題だろうと思う」というような事態が現実化した日には確かにネット広告に流れるパイは今とは比べられないほど、大きくなるだろう。

しかし、それが本当に既存のメディアビジネス経験者によってなされるのか?というと、ちょっと疑問を持たなくもない。80:20の法則的なマスの世界とロングテールのネットの世界の常識は結構違う。
ネットの世界にいる僕でも、これまでのSEO/SEMが通用していた世界とこれから現実化するであろうCGM中心の大量情報時代のWebマーケティングでは、ロングテールの尻尾の長さにおいて明らかに異なるだろうし、その環境下でのユーザー行動も明らかに異なることは予測できるから、そうやすやすと今後のネット広告の先行きを予測するのはむずかしいと感じている。
「検索」に対する広告への反応と「定期購読」に対する広告への反応が異なるのはAdwordsとAdSenseの違いをみれば明白で、今後ますます重要性を増してくるであろう「定期購読」に対していかに効果的な「広告」戦略を立てればよいかはいまだにベストプラクティスは存在しない。
まぁ、それも当然で「定期購読」が重要さを増すWeb2.0的世界はいまだ発展途上でこの2006年を通じて初期的なエコロジーが形成されるのではないかという段階だ。
その時、どこの誰が広告のパイの分配をうまく抑えられているか、注目するべき点だろうなと思う。





この記事へのコメント

  • R30

    TBいただきありがとうございます。こちらからうまくリンク先記事にジャンプできなかったので、いったん削除させていただきました。できれば、再度TBを打っていただけると幸いです。
    2006年01月10日 09:33

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