鶏口牛後じゃないの?

今日は本当にがっかりなできごとがありました。

間口を広げるために自分たちの立ち位置をあいまいにするなんて話、僕はこれまでマーケティングの分野でも、ブランディングの分野でも、デザインの分野でも一度も聞いたことありません。

いや、新入社員に対してだって、そんなこと言いませんよね。可能性を広げるために自分の立ち位置をあいまいにしておきなさいなんて。ましてや、自分のやりたいことを明確にするのに苦労するのだったら、そんなことはやめなさいなんて言わないですよね。そういう苦労は買ってでもしろというほうが親心を感じます。それを親の立場にあるほうの人がそういうこと口にするのだから・・・。

でも、そういう言葉を耳にしたんですよね。
あまりのことに、さすがに声も出ませんでした。

一言で感じたことをいえば「残念」に尽きます
がんばってる人たちがかわいそうに感じました。

まさに僕が以前書いた「PR下手で損してる人(たち)に贈る日々のPRを続ける5つのコツ」とはまったく逆の発想ですよね。あー、もっと前には「Webブランディングにおける「差が開く仕組み」」なんてのも書いてました。

僕がなんでペルソナなんてことをやってるのか、その人にはまったく理解できないんでしょうか。そうだとしたらがっかりだし、ちょっと情けなくもなります。自分のやってることってそんなに理解されてないんだなって感じますから。

それで組織で働く人が幸せになれるのか?

我を張るのと、自分たちがやりたいことを明確にしていくことは違います。
自分たちが目指すものを公にすることで、かつ、その分野のトップを走ることで、はじめてついてきてくれる人、話を聞いてくれる人の間口を増やせるんじゃないでしょうか? 少なくともリーダーとはそういうものだと思います。

その反対に、自分の立ち位置をあいまいにして、何か長いものや大きなもののお尻を追いかけてるだけじゃ、いつまでたっても自転車操業です。何故なら未来を自分で描くことができず、他人にふりまわされるばかりになるしかないのですから。イノベーションには程遠いのはいうまでもなく、イノベーションはしくみによってはじめて可能になるということも理解されていないのだと思いました。

僕がイヤだなと思うのは、そういう姿勢ではせっかく組織で汗水たらして働く人が幸せになったり、すこしは楽でやりたい仕事ができるようになったりするとは思えないからなんです。自分たちで道を切り開くこともせず、他人が切り拓いてすでに他の人も殺到してるレッドオーシャンを進むのが本当に適切な戦略とは思えないんですね。

強者には「しくみ」があるが、弱者には「しくみ」がない。 from 『強者のしくみ 論理的思考と全体最適を徹底する会社』

適材適所

自分たちが得意なこと、かつ、時代のニーズにあったものを誰よりも先に突き詰めていくって発想が必要だと思います。というのは、得意なことであれば苦労せずにできますけど、苦手なことをやらなくてはいけないことほど、コスト的にも精神的にも滅入ることってないと思うからです。

適材適所ってそういう意味で大事だと思うんです。そして、適材適所を可能にするのは、何が「適」なのかを明確にすることです。

これもすでに「「デザインする」という感覚」で書いたことですね。

鶏口牛後。
むしろ鶏口と為るも牛後と為る勿れ。

あー、ちょっとあまりのがっかりさ加減に情けなくて涙が出そうです。

  

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