まわりの人を信じられるから夢にむかって前に進むことができる

夢をもたなければ、個人でも、組織でも、決して未来に向かって道を切り拓いていくことなどできないと思う。

「夢」という言葉があいまいで、生ぬるく感じられるなら、自分が何を実現したくて、そのために何が必要なのかという絵=計画だと言い換えてもいい。見えないものに向かって歩を進められるほど、ヒトは器用な生き物ではないと思う。見えていなければ前には進めない。どちらが前か後ろかわからないのだから。

ここまではごくごく当たり前のことだと思う。ただ、問題はそれが見えていないことを問題にすら感じない人がいるということだ。

トップが夢を描けなければ、組織は夢を見られない

いま見えていなくても、それが問題だと思い、必死で探している人はよい。何がよいかと探しながら、いろいろチャレンジするうちにぼんやりとでもヴィジョンは絵として見えてくるはずだから。危機感はおぼえつつ努力しながらも決して焦る必要はないと思う。

だが、問題は夢ももたずにいることに何の疑問も感じていない人や企業だ。企業のトップがもしそうならきっとその企業で働く人たちも夢をもつことがむずかしくなる。自社で働くスタッフが夢を描けるようにし、それによって、その人自身がもつ可能性を伸ばせるようにすることは、企業のトップの最低限の仕事だろう。それさえしていれば、トップなど他に何の仕事もしなくてもいいはずだ。
そのためには企業のトップ自身が夢をもち、夢を語り続けなければどうにもならないだろう。たとえ、口下手でうまく表現できなくても、夢を大きくもち、下手なりにスタッフに伝え続けていれば、そこに何かあることぐらいはなんとなく感じられるものだ。もちろん、夢は鮮やかに伝わったほうがいいが、夢すらないことに比べれば、あいまいなイメージでも夢の存在が知れ渡ることのほうがどんなにマシだろう。

トップが夢を描けなければ、組織は夢を見られない。
夢のない組織に未来はない。なにしろ、未来を切り拓く歩を進められないのだから当然だ
それが組織にとって何よりのピンチであることにトップに立つ者が気づけないのなら、もはや言葉もない。

人を大事にするための組織のデザインがない

何より人が大事だとはどんな組織のトップでも一度は口にしたことがある言葉だろう。しかし、その「大事」の意味を本当の意味で理解しているかどうかはかなりあやしい。

「大事」だと思うなら、どうやって働く人々個々の力をフルに発揮できるようにするか、また、グループワーク・チームワークの力で個々人がもつ力以上のものを生み出せるように、組織を、働く環境を、働く場でのコミュニケーションを、いかにデザインするかということに何より真剣に取り組まなくてはいけないはずだ。それが本当の意味で「組織においては人が大事」だということの意味するものだろう。

では、組織を、働く環境を、働く場でのコミュニケーションを、個々人それぞれがもつ力以上のものを出せるようなグループワークができるようにするためのデザインを行うには何が必要か?
必要なものは、どんなデザインともおんなじように、何を実現したいかという哲学とそれを実現するためには何が必要かというヴィジョンにほかならない。つまりは夢だ。

個人が安心していばらの道に足を踏み出せるのも、信じられる仲間がまわりにいてこそ

組織のデザインが悪ければいくら人材の育成に力を入れても人は育たないし、育った人ほど辞めていくだろう。まともな組織デザインもできない夢のない会社には、夢をもった力のある人ほど長くはいられない。
そうなってしまうことに対して「人が大事」という言葉を本当に信じて口にすることができるのだろうか?

一方で、トップのことばかり責めても仕方ないということもある。
個々人それぞれだって夢をもつ必要があるし、組織の一部のチーム・グループ単位でもリーダーがおなじく夢を語る必要があるだろう。

ところで、じゃあ、夢にむかってそれぞれが実際に歩を進めるうえでは、組織は、そして、実際のまわりの人はどう関わるのだろう? 僕はこれまで自分が自分自身の夢を、そして、自分が所属する組織の夢をかなえるために歩を進める場合、組織の夢を信じられていたり、まわりにいる仲間の力を信じられていたことが、安心して、そして、自信をもって歩を進めるうえでの何よりも力強い原動力になっていたことを感じる。自分が道なき道を切り拓くときに失敗を恐れずに足を前に出せたのは、多少の失敗ならしっかりと支えてくれる存在としてまわりの仲間がいたからだと思う

個々人がまわりを信じて前に進む歩を踏み出せるようになるためにも

クリエイティブになるための1つの視点」で書いた協働作業が創造性を生み出すということには、そうした信頼関係があってこそだと思う。そこで書いたライバルというのも何よりその力を信じられる存在にほかならない。そんなライバルたちがまわりにあふれかえっていれば、おちおち手を抜いてなどいられないし、自分の未来をしっかり描いて、どう前進しようか、どう自分を磨いていこうかと考えずにはいられなくなる。

それが信頼と競争意識の両方でつながれた組織の創造性を高める何よりの力なんだと僕は思う。

そんな風にスタッフ同士が信頼関係や競争意識を育める環境を、システムを、組織はちゃんとデザインして、提供できているか?

だからこそ、企業のトップはそうした企業文化をデザインし実現することを何よりの仕事と考えなくてはいけないのだと思う。そうでなければ、どんな夢もかなうはずがないのだから。
企業の夢もかなわなければ、個々人の夢をつぶしてしまうかもしれないのだから。

  

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