参加したのは、Web科の1年生とWebゼミの2年生。2年生が未成年なのに1年生に成年がいたりして、なかなかおもしろい構成でした。
では、最後に学生たちがやった同じフレームワークに則って、僕からも合宿のリフレクションを。
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1.合宿について
まずは合宿全体の総評から。学生と同じく段階評価のみで。- 楽しかった?:
- 評価:5
- ためになった?:
- 評価:5
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リフレクションの風景
2.バーベキューについて
10時に小田原に集合して、バスで芦ノ湖・桃源台に移動。まずはキャンプ場でバーベキューをしました。- コメント:
- 2つのグループに分かれてのバーベキュー。それぞれのグループで肉や野菜を焼く手際の良さ、その結果としての鉄板の焦げ具合・きれいさに違いが出るのがみていておもしろかった。
- ほっとくと1年生と2年生、男子女子で分かれてしまうところを強制的にミックスしたグループに分けるところはこういう合宿での大事なノウハウですね。
- まだ、この時間帯では学生さんたちの名前も分からず「お客さん」状態でした。でも、片方のグループで野菜炒めをつくらせてもらったあたりから中に入っていけたかな、と。やっぱりこういう時は会話から入るより作業の共有から入った方が打ち解けやすいですね。
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3.研修について
今回、2日間での研修は3つ。初日は僕の講演と浅野先生によるワークショップ「スパゲティ・キャンチレバー」。そして2日目の今日の朝に僕のワークショップ「感性幾何学」。それぞれ評価とコメントを。- 棚橋さんの講演
- ためになった?:4
コメント:- 普段、学生向けに話す機会はないので、どういうレベルの内容を話そうかと迷い、新卒者向けくらいのレベルでプレゼンテーションを用意していきましたが、ちょっと内容はむずかしかったですね。特に4月に入学したばかりの1年生にハードルが高かったですね。
- とはいえ、もともと講義はそのあとの空いた時間に学生さんが僕に質問してきやすいように、きっと学生さんが関心があるかなというところを素材的に散りばめておいたのですが、そこはどうやらうまく機能していたらしく、あとで何人かの学生さんが個別に質問してきてくれたのはよかったです。2年生と1年生でも年上の人でしたが。
- スパゲティ・キャンチレバー
- おもしろかった?:4
コメント:- 存在は知っていましたが、やってるところを目の前で見たのははじめて。
IDEO社の業務プロセスは、「いかに発想するか」という組み立てに基づいてデザインされている。彼らは日常的にワークショップを行う。以前、IDEOで行われているという「スパゲティ・キャンチレバー」というワークショップを体験したことがある。(中略)このワークショップは、時間内にいかに素早く問題解決を行うかという発想の訓練であり、共同作業と役割分担というチームワークの訓練である。
ここでも1年生と2年生の混合のペアでワークに取り組んでました。 - やっぱりこういう作業を通じてのコミュニケーションだと、普段、交流のない相手同士でも話し合っていっしょに作業を進めるってことが成立するんですね。「作業を共有する」ってことが、デザインにおけるコミュニケーションにおいてはすごく大事なんだなと改めて勉強になりました。
- 2セットやりましたが、やっぱり1回目を終わったあとに、きちんとリフレクションするのは大切。最初のコンセプトがリセットされて新しいコンセプトを考えるようになるのでいいですね。ほとんどのチームが2回目のほうがいい結果を出してました。やっぱりデザインでは「コンセプトを壊しながら進める」というのが大切ですね。これも学んだことですね。
- 今回は僕自身はワークに参加しなかったので、見ていてやりたくなりました。というわけで夜のフリータイムに自分でもやっちゃいました。あまりに凝ったものを作ろうとしすぎて途中でやめちゃいましたけどw
- 存在は知っていましたが、やってるところを目の前で見たのははじめて。
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- 感性幾何学
- おもしろかった?:4
コメント:- 感性幾何学とは、初等図形(長方形、二等辺or直角三角形、正円)のうち、3つを使って、与えられたテーマを描画する演習。これは僕が講師を担当。10年前にやってた方法ですけど、ひさびさにやりましたけど、おもしろかったですね。これも2セットやりましたけど、2回目はたまらず自分も参加しちゃいました。
- 3つの図形だけでテーマを表現するのってむずかしい。むずかしさには2つあって、1つは限られた素材で自分が表現しようと頭に思い浮かべたものを表現することのむずかしさで、もう1つは自分がテーマから思い浮かべた図像がはたして他の人がみたときも同じテーマをイメージしてもらえるかというむずかしさ。イメージしたものを限られたリソースで表現することと、相手に伝わるものを表現することの2つが課題になります。
- この2つのむずかしさってまさにデザインの2つの課題です。前者はモノそのものを使える素材と限られた時間で形にすることできるかということで、これは従来からあったモノそのもののデザイン。後者は作ったものが相手に何かわかるか、どう見れば(使えば)いいかわかるかということで、人間中心設計(ユーザー中心のデザイン)です。デザインってこの両方がないと成り立たないってことがこの感性幾何学をやると感じられます。それがやってみた学生さんにも伝わったかな?
- 1回のテーマごとに「グランプリ」「美しさ」「アイデア」それぞれを投票して決めるのですが、浅野先生が苦戦していたのはおもしろかった。これは2つ目の「相手に伝わるものを表現する」という点で、同じ年代の学生同士が互いに伝え合うのと、年の離れた学生と先生で伝え合うことのむずかしさの度合いが影響したのかなって思います。でも、2回終わったあと「感性幾何学」がどういう課題かを理解してた浅野先生はさすがです。
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4.夜のフリータイム
スパゲティー・キャンチレバーのあと、それぞれ夕食・入浴を終えたあとは、フリータイムに。おもしろかった?:5
コメント:
- 今回の合宿で一番おもしろかったのは、この時間ですね。まぁ、たいていの合宿はそういうものかもしれませんが。
- いろんな質問に答えたり、就職活動の相談などにのったりしましたけど、真剣に考えている人と話すのは相手が年の離れた学生であっても、やっぱり質問や相談に答える方も刺激になりますし楽しいものです。何かをがんばってやろうとしている人と話をするなかで、相手が何かすこしでも変わっていくこと=本人がちょっと変わったなと思えることこそが、本当にクリエイティブなことだと僕は思います。発見とは自分が変わることです。僕もこの夜のフリータイムでたくさん発見させてもらいました。
- その点では僕自身、話をしてくれた人からはいろんな刺激をもらえたし、楽しい時間を過ごさせてもらいました。ありがとう。特に3時まで話した1年生のOさん、話ができておもしろかったですよ。時間が経つのが早かったですね。
- その意味で、今回全員と話をすることはできませんでしたが、みんな、いろんな人に自分の考えを聞いていもらったりすることは意識的にやったほうがいいと思います。普段、話をすることがない人と話をすることで、ずっと悩んでいたことを解決するためのヒントが見えてくるってことは少なくないと思うから。うまく話せる必要なんてないんです。それよりも話を聞いてもらおうとか、誰かと話をしようって思って実行できることが大事。話をするのが苦手といってた2年生のOさんなんて、いちばん積極的に話してきてくれたと思うし、話しているのは面白かったですよ。
- 積極的に普段、自分のまわりにいない人と話すというのは、単純に就職活動でいろんな会社の面接を受けてみるということでもいいと思います。最初から「ここはだめだ」とか「ここは評判がよくない」とか決めつけないで、とりあえず話をしに行ってみることで、違う見え方ができるようになるから。それに就職って単に職種を選ぶだけじゃなくて、会社を選ぶわけですし、会社のなかにいる人との相性とかも大事なわけです。そういうのって実際に自分で会いにいってみないとわかりません。相性なんですから、他人はだめでも自分はよかったっていうこともあるしね。
最後に総評コメント
最後に総評コメントも箇条書きで。- あらためてデザインをするという場でのコミュニケーションってすごく大事だなと思いました。「暗黙知はどこにあるか?/情報は界面にある」で書いたこととも近いのですが、やっぱり自分の持っている才能とか力って、自分だけでは引き出せないんですね。いっしょに作業する仲間・コミュニケーションする相手によって、自分の力が活かせるか・相手の能力を引き出してあげられるかってすごく変わってくるんだなって実感しました。
- デザインする上で一番大事なのって、いろんな他の分野の人とコミュニケーションしながらお互いの力を引き出しあうことで1つのものを作っていけるかどうかということなんでしょうね。
- その点では、学生ってこういう場に恵まれていて、合宿を通じて企業人が学べていないことをちゃんと学べる・感じられる機会があるんだと思います。このあたりは企業もいかにこういう体験による学びの場を提供できるかってのは今後の課題なのかなって思いました。ここはすごく勉強になりましたね。お招きいただいた浅野先生・徳永先生にはあらためて感謝です。
横浜デジタルアーツのWeb科・Webゼミのみなさん、楽しい週末をありがとうございました。
また、機会があればいつでも呼んでください。
では、これからもがんばってくださいね。
P.S.
今回の合宿の模様はこちらにも。
- 情報デザイン研究室 | 箱根合宿 初日編、2日目編
- 情報デザイン勉強部屋 合宿に行ってきました。
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