2017年01月09日

鉄道が標準時をつくった

びっくりした。
知らないことを突然知るのは驚きである。

いまヴォルフガング・シヴェルブシュの『鉄道旅行の歴史』という本を読んでいるが、その中にこんな一節がある。
地方は、具体的にその時間を失う。鉄道により、その地方的な時間が奪われてしまう。地方が個々に孤立しているかぎり、地方にはそれ固有の時間があった。ロンドンの時間はリーディングより4分、サヤレンセスタより7.5分、ブリッジウォーターよりも14分早かった。
ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史』

最初読んでもピンとこなかった。その前に鉄道によって空間の間を移動する時間が大幅に短縮され、空間同士の距離が小さくなるといった話があったので、その流れで地方が同じ生活時間圏内になるといった話かと思った。

それにしては「ロンドンの時間はリーディングより4分…」のくだりの意味がわからない。
読み進めると、わっ!と思った。
時間の統一は、英国では1840年頃個々の鉄道会社が独自に企てる。各会社が自分の路線にそれぞれ標準時間を導入する。
ヴォルフガング・シヴェルブシュ『鉄道旅行の歴史』

え?もしかすると、それまでは街ごとに標準時が違ってたということ?と思い、電車の中だったが、すぐにWikipediaを調べると、こうあった。
標準時が導入される以前は、各々の自治体ごとに(もしその町の時計があれば)その町での太陽の位置に合わせて時計を合わせていた。すなわち都市や観測地点ごとに定めた平均太陽時であった。

ヨーロッパの街の中心部に古い時計台があるのもそのせいなのだろう。


エクス・アン・プロヴァンスの17世紀の天文時計台。市庁舎広場にある。


「地方は、具体的にその時間を失う」とは比喩的な意味ではなかった。
まさに鉄道の普及の際、「地方にはそれ固有の時間があった」状態が変化したのだ。
では、なぜ、それが19世紀後半の鉄道普及の際だったのか?
「鉄道が標準時をつくった」の続き
タグ:鉄道 標準時
posted by HIROKI tanahashi at 13:55| 文化史 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする