本を読むときに何が起きているのか/ピーター・メンデルサンド

僕らはごく普通に「あの本はわかりやすい、この本はわかりにくい」などと言ったりします。 でも、そもそも「本がわかる」というのはどういうことなんでしょうか? 作者の綴る言葉から何がわかればわかったと感じ、わからない場合はどういう意味でわからないと感じるのでしょう。作者の言うことがそもそもわからないのか、何を言っているかはわかっても、だから何なのか?がわからないのか。 そして、わかりやすさやわかりにくさは、そもそも、それぞれの本がもつ特性なのでしょうか? ある本は、ある人にはわかりやすく、また別の人にはわかりにくいかもしれません。ある人にとってわかりやすい本でも、それがおもしろいかどうかはまた別物だったりするし、その面白さもまた人によって異なるでしょう。 百聞は一見にしかずと言いますが、本を通じてわかることは、何かを見てわかることと同じなのでしょうか。 複数の人が同じ何かを見た場合、その視線でとらえたものに大きな違いはないと思われますが(見た後の解釈は除けば)、本を読んで感じることは人によって大きな違いがありそうです。 名もなき一匹の猫は誰が見ても、そう大きな違いを生じずに同じ一匹の猫として認識されそうだけど、「吾輩は猫である、名前はまだない」と書かれた文章から想起する猫は読んだ人のあいだでまったくバラバラになりそう。まさに「百聞は一見にしかず」で言葉をどんなに積み重ねても、目で見て誰もがわかるのとように、文章を通じて誰もが同じようにわかる状態をつくりだすのはかなりむず…

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