2015年07月04日

レンブラントの目/サイモン・シャーマ

17世紀の中頃、いよいよデザインという思考の形が人々の頭を支配しはじめたのがその時代であったと僕は考えています。

後に18世紀に入れなテーブル(表)にデータを並べる操作により、リンネにはじまる近代分類学という科学的な物の見方が生まれたり、さらにその1世紀後の19世紀には同じく品物をあるルールに基づき陳列することで、万国博覧会や百貨店という物の価値=意味を提示するための方法の創出にもつながっていくデザイン的思考によるさまざまな発明。

そんな風にさまざまなものを収集しレイアウトすることで意味=価値を生みだす視覚的イリュージョンが、17世紀の中頃から、それを行う人の思考さえもそれ以前とは大きく変えはじめます。その新たな思考の技法を駆使して、世界の見方を整え、理解を促そうという思考のあり方、つまり、デザインという思考のあり方が浸透しはじめた大きな変化のはじまりが17世紀中頃だったと僕はみています。



そんな17世紀中頃のまさに時代を変えた場所の1つであったアムステルダムという都市に生きた画家レンブラント。

その彼の生涯を、いや、それどころか、彼に先行するルーベンスの生涯どころか、その父親の生涯からたどることで、いかに17世紀のオランダやフランドル地方においてカトリックとプロテスタントの対立や、それと決して無関係ではないアムステルダムの経済的発展が、どのような形でルーベンスやレンブラントの芸術に影響を与えたのかをしっかりと描き出した700ページ、2段組の大著が今回紹介する歴史学者サイモン・シャーマによる『レンブラントの目』です。

分厚い本が好きな僕ですが、さすがにこの分厚さにはやられました。

この本を読みながらあらためて理解したのは、宗教改革という西洋におけるキリスト教社会の変革が人間にとってとてつもなく大きな変革をもたらす影響力の強いうねりだったのだということでした。そして、その影響が絵画の上にもはっきりとした形であらわれていて、その対比をみるのにルーベンスとレンブラントの関係はとても象徴的な関係であることも知りました。

はじめに書いたとおり、17世紀が人間の思考の大きな変革のポイントであったことは、これまでも折をみていろいろ(これとか、これとかで)書いてきましたが、まさにその変革の足跡がレンブラントの目によって描き出された絵画という形で残っていることを知り、どきどきしながら、700ページ超・2段組の大作を読み進めることができました。だから、このとてつもなく分厚い一冊も途中で投げ出すこともせず最後まで読み切れたのでしょう。

そんな濃い一冊から、1つのポイントとして、ルーベンスとレンブラントの関係をカトリックVSプロテスタントという対立という視点からすこしだけ書き出してみることで、この本の紹介になればと思います。

「レンブラントの目/サイモン・シャーマ」の続き
ラベル:レンブラント
posted by HIROKI tanahashi at 00:32| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする