2008年03月24日

手入れの思想

養老孟司さんは『人間科学』のなかで、西洋や中国などの都市のように城郭という明瞭な境界をもたずに、自然から人工につながる都市をもつ日本社会においてその境界に位置する「田んぼ里山」に注目しています。
そして、自然と人工の入り混じった中間形態としての「田んぼ里山」を成立させた思考こそが日本の思想であろうといって、それを「手入れの思想」と呼んでいます。

手入れとは、自然のものに「手を入れて」、できる限り自分の都合のよいほうに導こうとする作業である。そのためには、明瞭な前提が必要である。
それにはまず対象である自然の存在と自律性を認め、それを許容しなければならない。「仕方がない」とは、自然の負の面を認めざるをえないときにいわれることは明らかであろう。
養老孟司『人間科学』

『人間科学』という本で、養老孟司さんはモノとエネルギーを対象にしてきた科学に、情報系という新たな視点をもちこんだ人間科学を模索しています。かつてユクスキュルが『生物から見た世界』で描きだした動物によって脳によって構築される世界像の違いなども参照しつつ、脳化・情報化という観点から科学を見つめなおしています。

その観点から「都市社会は、巨大化したヒト脳の機能、とくに意識が中心となっている」と言いつつ、先の引用における日本の近世までの都市の特殊性について述べているわけです。

「手入れの思想」の続き
posted by HIROKI tanahashi at 23:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | デザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

自分は信じない。人を信じる。

問題をやたらと外部環境や方法の問題に還元して、そこへの自分自身の関わり方自体(コミュニケーション、進め方など)が問題そのものを顕現してしまっていることに気づかずにいる人が多いなかで、こうした姿勢は大いに参考にすべきではないかと思います。

鈴木氏のプロフェッショナルとしての仕事の流儀、それは「自分は信じない。人を信じる。」鈴木氏には、1人の人間が考えていることは、たかが知れているという考えがある。周囲の人間に解決策を求める中で、自分の最初の思いつきを閉まっておくことで、おのずと答えが出る。最終的に自分が思いついたアイディアに戻ってくるのではなく、周囲の意見を取り入れた別の言い方に言い換えてみるということが大切である。

問題があれば、それは他人を疑うよりはまず自分を疑うべきだと僕は思っています。他人を変えようとするのではなく、自分が変わることが大切だと思います。

そうであれば、現在の問題を外部の環境のせいにしたり、方法論のせいにしたりはどうもしっくりこない。それは自分の進め方が外部環境を変えたり、道具をうまく使いこなすにはいたっていないふがいなさを反省し、もっとうまくいく方法をとことん考えてみればいいと思います。

壊されたらまた積み重ねればいい

その意味で、上記の引用はすごく納得感がある。

ここでの「自分は信じない。人を信じる。」は、もちろん、自分に対して自信をもっていないということとは違います。
むしろ、自分に対して明確な信念・自信がない人ほど、他人や外部の環境、方法論に難癖をつける傾向があるでしょう。それは上にも書いたとおりの意味で。
自分に自信があれば、自分をいまより高めようという信念があれば、むしろ他人の耳に傾け、外部の状況に応じた適切な判断・言動を行い、よい方向に導くこともできる可能性は高くなるはずです。

いまの自分が外部の環境や既存の方法論に頼って、真に自分自身の主張だと思えることがなければ、その手法や考え方を否定されただけで、自信を喪失してしまうかもしれません。それは本当の意味での自信ではないと思います。外部の客観化されたものを頼りにしてるだけで、主観としての自分の強さを持ちえていない。「自分を信じない」というのはそういう客観化されたものに頼ってしまって、自分の主観の強さを磨こうとしない態度をつねに疑ってかからないといけないということだと思います。
壊されたらまた積み重ねればいい。そう思っていれば、それこそ積極的に他人の意見や外部の意見に耳を傾けていこうという姿勢が生まれるのではないでしょうか。いや、むしろ積極的に壊そうと思っていなければ客観にまみれた自分のなかで主観を磨きだしていくことはできないのではないか、と。



「自分は信じない。人を信じる。」の続き
posted by HIROKI tanahashi at 15:53 | Comment(2) | TrackBack(2) | ライフハックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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